【1972年】”ビー・ジーズがザ・ビートルズを歌っていた時代”のアルバム『ノスタルジア』紹介

この記事については、1972年『ノスタルジア』発売当時の映画雑誌からの切り抜きという以外には、ちょっとディテールの記憶がありません(またか!)。レビューというより紹介記事。筆者は音楽評論家の立川直樹氏です。

ノスタルジア/ビージーズ

<ビージーズがビートルズを歌っていた時代>

「ノスタルジア」というアルバム・タイトルから、察しのいいひとなら、わかってしまうかも知れない。これが、僕達ファンにとっても、本人たちビージーズにとってもきわめて、ノスタルジックなアルバムであることを。そして単にビージーズのファンでなくても、オーストラリアからイギリスに渡っていった時、ビートルズの良きライバルといわれたビージーズが、「涙の乗車券」「ペイパーバック・ライター」「ユー・ウォント・シー・ミー」といったビートルズ・ナンバーを歌っているのは、一聴の価値があるだろう。また、このアルバムには映画「小さな恋のメロディ」のオープニング・テーマとして使われた「イン・ザ・モーニング」や、「ウエストサイド・ストーリー」の中の1曲「サムホェアといった興味深い曲も入っている。

おそらく出典が映画雑誌(たぶん当時創刊間もなかった集英社の「ロードショー」あたりかなあと思います)なので、映画関連の曲への言及が多いのでしょう。

「ウエストサイド・ストーリー」の中の「サムホェア」と「愛はきらめきの中に」の意外な関係(?)については、数年前にパラマウントとUniversal Music Japanの連携で発表された『サタデー・ナイト・フィーバー』40周年記念盤の解説に書いたことがあります。そこでも触れたかと思いますが、ビー・ジーズがまだまだメジャーには程遠かったこの時代に若きロビンが低音域で歌ったバージョンは、P.J.プロビー版を基にしているのではないかと思われます。

映画『小さな恋のメロディ』に使われたバージョンよりずっと素朴なオーストラリア時代の「イン・ザ・モーニング」にものっけからびっくりしたものでした。

このアルバムについては、ある意味でオフィシャルリリースではなかった(注)せいなのか、もともとビー・ジーズのオーストラリア時代に関心を持つニッチなファン層が対象だったせいなのか、わりとひっそり発売されて、あまり国内レビューを読んだ記憶がありません。これはそんな意味では比較的珍しい記事かもしれません。

(注 日本のレーベルであったポリドールから出ているという意味ではオフィシャルなのですが、ビー・ジーズ本人やイギリスのポリドール本社、RSOなどが認可した盤ではありません。その後、海外本社の統率がきびしくなるにつれ、各国独自の編集盤、コンピレーションなどはどんどん出しにくくなっていっています。これはまだのどかだった70年代初頭だったから実現したリリースといえるかもしれません)

{Bee Gees Days}

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