バリー・ギブ、「弟たちがいてくれたら」(ボストン・グローブ紙インタビュー)

ボストン公演でベス・コーエンと「Islands In The Stream」を歌うバリー・ギブ

バリー・ギブ、ボストングローブ紙インタビュー

ご紹介が遅れているうちにバリーのツアーが始まってしまいましたが、初日のボストン公演に先立って、ボストン・グローブ紙に掲載された(オンライン版2014年5月12日付)バリーのインタビューをご紹介します。元の記事「バリー・ギブ、兄弟愛を携えてツアーに」はマイアミの自宅にいたバリーとの電話インタビューをもとに構成されています。インタビュー時のバリーはかかとをねんざしていたそうですが、「ステージには影響ない」と言っていたとのこと。

 

「演奏面では問題ありません。ファルセットもまだ快調で、毎日歌っています。居間にスピーカーをおいてマイクをセットし、ステージに立っている気持ちになっています。家族はいやがってますが、ぼくは楽しんでます」と笑うバリー。

息子のスティーブンと姪のサマンサも参加して、コンサートはビージーズのメンバーだったロビンとモーリスだけでなく末弟アンディにも捧げる内容だ。

「ぼくたちは影響しあっていました。ライバル関係でもあったけれど、強く愛し合ってもいた。交友関係はそれぞれに違っていましたが、音楽が変わらぬ絆でした」

その音楽が「How Can You Mend A Broken Heart」のような初期のヒットから『サタデー・ナイト・フィーバー』のサントラ、「Islands In The Stream」をはじめとする他のアーティストに提供したヒットまで、ビージーズを世界的な存在にした。木曜日のコンサート(訳注:ボストンの初日2014年5月15日)ではその音楽が主役となる。

Q:「サタデー・ナイト・ライブ」の「バリー・ギブ・トーク・ショー」コーナーで、ジャスティン・ティンバーレイクに亡きロビン役の続行を許しただけでなく、ご自分もジミー・ファロンと一緒にカメオ出演されましたね。とても太っ腹な決断だと思いますが、さてはあのコーナーのファン、ですか?
A:(ファロンが)大好きで、たぶんジェリー・ルイス以来最高のコメディアンじゃないかと思っています。とにかく笑わせてくれる人ですよね。
Q: でもファロン演じるバリー・ギブは実物とはかなり違うのでは?
A: ですね。ぼくたちはみんなかんしゃく持ちですが、絶対あそこまではいきません(笑)。「おれさまの番組だぞ!  認められるか!」なんてね(訳注:これがファロン演じる”バリー・ギブ様”の決めゼリフです)。
 Q: とにかく膨大なカタログをお持ちですから、実際にショーのセットリストを組むのは大変ではありませんか。
 A: 好きな歌を全部歌おうとしています。書いた曲が全部歌いたい曲とはかぎらないのですが。ただ、ちょっとだけ義務感から歌っているという曲がひとつだけあって、たぶんおわかりかと思いますが、「Stayin’ Alive」です。でもその他の曲はすべて歌いたいので選んだ曲です。次は何だっけと見たときに、わくわくできるような曲を選びました。
 Q: 息子さんや姪御さんも一緒で、ファミリーに流れる音楽の伝統は健在ですね。
 A: そうですね。パターンはさまざまではありますが。息子は実はメタル系で、リードギターを弾いており、粗削りな声をしています。モーリスの娘で、ぼくには姪にあたるサミーは、素晴らしい声の持ち主です。だから確かに伝統は子どもたちの代に受け継がれていて、素晴らしいことだと思います。ぼくの娘もテレプロンプターの操作をしてくれているので、ステージのわきを見ると娘が見えます。娘は自分なりの考えを持った子なので、表情を見ると気に入ってくれているかどうかがすぐにわかります。いつも気に入ってくれるわけではないのですが、素晴らしい評論家です(笑)。
 Q: これまでもソロで活動はされてきましたが、弟さんたちなしでのこの規模のツアーは初めてですよね?
 A: その通りです。ふたりがいてくれたら。ふたりの顔がステージに並んでいたら、とさびしくて。生きて行く上でもふたりがいないのは、ふたりの意見が聞けないのはさびしい。だからいつも、「ロビンだったらどう思うかなあ。モーリスはどう思うかなあ。アンディはどう思うかなあ」と考えています。
 Q: ブルース・スプリングスティーンとEストリートバンドが最近ビージーズが育ったオーストラリアで「Stayin’ Alive」を演奏しました。あなた自身もその選曲を喜ばれたとか?
 A:すごかったですねえ。ぼくはブルース・スプリングスティーンのファンですから、こちらからも「答礼」しようと思っています。
 Q: するとバリー・ギブが歌う「Born To Run」とか?

A: ひょっとしたら(笑)。ときどき、好きなアーティストの曲も取り入れています。ブルースとかポール・マッカートニーとか。ですから意外な曲があるかもしれませんよ~。
 A: 数カ月前に「サタデー・ナイト・ライブ」に出たときにマッカートニーと話したりする時間はありましたか?
 Q: はい。楽屋が隣り同士でした。この35年でポールに会ったのはこれで2度目です。60年代のこと、有名になる前のことなど1時間ぐらい話しましたが…「いつまでこういうことをやり続けるのかな?」とぼくがいうと、ポールは「他にすることなんかないじゃん」って言うんです(笑)。まさにポールの言う通りなんですね。好きなら、やるしかない。
 Q: ストライザンドやディオンヌ・ワーウィックなど他のアーティストにもヒット曲を提供してきましたね。自分たちでやってたらな、と思った曲はありますか?
A: モーリスがいつも「あの曲はおれたちがレコーディングすればよかったんだよ」って言ってました。「Islands In The Stream」とか「Heartbreaker」とかです。でも「じゃ、レコーディングしちゃおうよ」と言ったのはロビンです。ぼく自身はやりたくなかった。どの曲も行き場を得たんだから、それでいいじゃないか、というのがぼくの気持ちでした。
Q: するとご自分の曲がかかっているとボリュームを上げます? それとも下げますか?
A: 上げまーす。ラジオで自分たちの曲がかかっていると嬉しくて。ビンビン来ますからね。
Q  一緒に歌います?
A: そうでもありません(笑)。車にカメラでも仕掛けられててバレたらまずいかな、とか思って。こないだの晩、娘が友だちと食事に出たら、途中で「Stayin’ Alive」と「Night Fever」がかかったので、窓を開けてボリュームをガンガンあげたら通りにいた人たちが踊り出したそうなんです。すごいことですよね。30年、35年も経って、いまだにああいう曲でそんな反応があるなんて。不思議だけど、素晴らしいなと思っています。

(取材・構成:ボストン・グローブ紙サラ・ロッドマン)

 モーリスやロビンの方がある意味で最後まで成功に対してハングリーだったと思えるのは興味深いですね。モーリスはディオンヌ・ワーウィックがうたう「Heartbreaker」がナンバーワンになったときは「あ~、あの曲をあげてしまわなければ」と思って泣きたかったと発言しています。そういう変わらぬハングリーさがいかにも音楽に生きたモーリスらしいなあと思います。(実際、どの曲もナンバーワンになっているので、あれが全部ビージーズの曲だったらなと思っているファンは多いはずです。そんな意味ではロビンが「おれたちもレコーディングしちゃおう」と発言してくれたのは良かったですね!)

自宅の居間でステージごっこ(?)をして家族にいやがられている、隠しカメラがあったらマズいと思って車の中でもラジオに合わせて歌わない(当然、冗談でしょうが)、というなかなかかわいらしいバリーでした。

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