アンディ・ギブのトリビュート・アルバム製作者に訊く

既報の通り、アンディ・ギブのトリビュート・アルバムが発売されます。5月7日のBandcampサイトでのデジタル版発売を前に、すでに限定盤CDの予約が開始されております(リンクはこちら)ので、CD版ご希望の方はお早めにご購入ください。

発売を前にして、製作者のインタビューが登場しました(John V’s Eclectic Avenue – 2021年5月2日付)ので、以下にざっとご紹介します。

インディー・ポップのトリビュート・アルバムの名プロデューサーであるアンドルー・カリーが、またも優れたコレクションを引っ提げて帰ってきた。1970年代のAMラジオ系ヒット曲、1980年代のブリティッシュ・バラード集、ボンド映画のテーマ集、ポール・ウィリアムズ作品集などを送り出してきた彼の今回の作品は『Higher Than A Mountain: The Songs of Andy Gibb』だ。この素晴らしいコンピレーション・アルバムは、リサ・マイコルズ、グレッグ・ポープ、コーク・ベルダなどのアーティストをそろえ、アンディ・ギブの作品の素晴らしいインタープリテーションを聴かせてくれる。ポープが歌う「I Just Want To Be Your Everything」や、ベルダの思いにあふれた「Me (Without You)」などの作品を聴けば、このアルバムがそんじょそこらのレコードではないことがわかるはずだ。ポートランドに拠点を持つレーベルCurry Cutsからリリースされるこのアルバムについて、アンドルーにいろいろと聞いてみた。

Q:  今回のアルバムは『Drink A Toast To Innocence: A Tribute To Lite Rock』『Here Comes The Reign Again: The Second British Invasion』『Songs. Bond Songs: The Music Of 007』『White Lace & Promises: The Songs Of Paul Williams』に続くあなたとしては5枚目のコンピレーションですね。もう製作過程についてはきっちりと把握されていると思うのですが、今回にはコロナ禍の影響も考慮に入れる必要があったかと思います。アルバムの製作過程で、その点で特に苦労されたということはありますか?

A: 今回のプロジェクトは、確かに、文字通り、しょっぱなからパンデミックの影響を受けました。アンディのトリビュートというアイディアは2019年後半からあって、少し経ってミュージシャンに声をかけはじめたのです。2020年春のリリースを予定していたので、曲は2020年3月までには出してくれ、と依頼していました。まあ、今となっては去年の3月にどんな事態が生じたか、ご存じの通りです。文字通り、世界がロックダウン状態になったわけで、自宅のスタジオスペースで作業できたアーティストもいましたが、自分の作品で楽器からプロダクションまで全部やるようなソロのミュージシャンも含めて、通常のスタジオ空間がない状態になってしまった人も多かったのです。いつも同じ空間を共有してレコーディングしていたバンドの人間たちにとって、突如、そんなことはできない相談になった。そこで2020年3月の締め切りが2020年4月に延び、さらには2020年のハロウィーンに延び、最後には「とにかくできあがったら送ってくれ」という状態になりました。当初の3月締め切りに間に合った人たちも何人かいましたが、あとの人たちは2021年の冬までレコーディングに着手できなかったのです。15曲入りコンピレーションのために、曲をそろえるのに文字通り13カ月以上かかりました。めちゃくちゃでしたね。

Q: 『Higher Than a Mountain』 はアーティストとして、そしてソングライターとしてのアンディの才能をうまく示しています。忘れられがちですが、アンディ、それに兄にあたるバリー、ロビン、モーリス(ビー・ジーズ)は、マルチタレントに恵まれたアーティストで、自分たちでヒットを飛ばしただけでなく、ライターとして、プロデューサーとしてのキャリアでも成功しています。ビー・ジーズは『サタデー・ナイト・フィーバー』の成功後、「単なるディスコのグループ」というアンフェアなレッテルを貼られてしまったわけですが、その作品群(アンディと組んだ作品を含みます)を見れば彼らが幅広いスキルの持ち主だったことがよくわかります。アルバムのライナー・ノーツで、あなたは、若いころにアンディとビー・ジーズのファンだったと書いていますね。あなたとしては、アンディの音楽について一般に抱かれているイメージの幅を広げたい、という意識があったのでしょうか?

A: それは間違いありません。そのライナーにも書きましたが、このコンピレーションにはアンディのトリビュートであると同時に彼の兄たちへのトリビュートという面もあるのです。兄たち、特にバリーは、アンディの最大のヒットの大半の作者、あるいは共作者であり、プロデューサーでもあって、アンディの成功に欠かせない存在でした。もあるのです。バリーは、最近、『グリーンフィールズ』という素晴らしいアルバムを発表しました。このアルバムで彼は現在人気のカントリー・アーティストたちとのデュエットでビー・ジーズの曲を再訪しています。昨年暮れにはHBOがビー・ジーズについての素晴らしいドキュメンタリー『How Can You Mend A Broken Heart』をリリースしました。ですから、ギブ兄弟は、再び脚光を浴び、大勢の人が彼らを、そしてポップミュージックの世界に彼らが果たした役割を、再評価しています。だから、僕としては、アンディにも光を当てたいのです。彼は70年代末のギブ兄弟というヒット・マシーンの重要な要素だったからです。ビー・ジーズのレガシーに彼が果たした貢献が見過されているのではないかという気もするのです。

Q: 『Higher Than A Mountain: The Songs of Andy Gibb』に収められている曲は、アンディの短いながらも感銘深いディスコグラフィーの中から、著名なヒット曲だけでなく、アルバム・トラックも取り混ぜた構成ですね。曲を選んだのはあなたですか? それとも参加アーティストにレコーディングしたい曲を選んでもらったのでしょうか?

A: まず、コンピレーションに入れたい曲を僕が選んでから、参加アーティストそれぞれに特定の曲をオファーしました。その人のスタイルで演奏されているところが聞こえるような気がした曲をオファーしました。もちろん、ヒット曲は全部入れたかったんです。けれども同時にもっとディープなアルバム・トラックにも光を当てたかった。アンディが兄たちの助力を仰がずに書いた曲ですね。あと数年キャリアが長かったら、彼がどんなアーティストになったのか、それを感じられるようにしたかったのです。

Q: アルバムに選んだディープな曲中で、特に好きな曲というのはありますか?

A: こういうプロジェクトをやっていて楽しいのは、もともとのマテリアルに立ち返って、忘れていた曲、何年も聞いていなかったような曲をまた聴くという作業です。「Time Is Time」(今回のアルバムではキース・スレットダールがカバーしている)はリリースされたときのことは覚えているものの、その後、あまり気に留めずに来た曲でした。でもこのアルバムをまとめる作業にかかってから100回以上聴いたと思います。ぜひぜひ、聴き直す価値のある曲です。アンディのサウンドを知っていると思っている人たちに特に聴いてほしい。当時のアンディが活躍していたディスコ/アダルト・コンテンポラリーの枠には当てはまらず、ギブ兄弟に対する逆風が吹いている最中に世に出たのでなかったら、もっと大ヒットになったんじゃないかと思っています。

Q: どのアーティストも、曲を自分のものにしていると同時に、オリジナルの精神に忠実で、素晴らしい仕事をしています。「Why」をやったThe Test Pressingsや「Wherever You Are」のIrene Penaのように、さらにパワフルにしたケースもあります。リサ・マイコルズの見事なカバー「(Our Love)Don’t Throw It All Away」、ミンキー・スターシャインのよりダークな「Desire」、ケン・シャープとフェルナンド・ペルドモの「One More Look At The Night」などが、アルバムのハイライトですね。初めて聴いたときに驚いたバージョンはありますか?

A: その辺の曲はこのレコードの持つヴァラエティの好例ですね。ミンキーはこのところのコンピレーション数作に参加してもらっていますが、彼のトラックがどうなるか、なかなか予測がつかないんですよ。『Here Comes The Reign Again:The Second British Invasion』ではスパンダー・バレエの「True」をやってもらったんですが、おっしゃる通り、このアルバムでの彼の「Desire」のバージョンは、ビー・ジーズのフルのバックボーカルがしっかりとフィーチャーされたアンディのオリジナルとはかなり違っています。リサ・マイコルズのトラックは夫君のトム・リチャーズとコラボしたものですが、この辺の古い曲の彼らのテイクにはいつもびっくりさせられます。このレコードでは、「(Our Love) Don’t Throw It All Away」で、ハーモニーにさらに何層もハーモニーを重ねて、最終的な仕上がりには、僕はもうメロメロです。

「Why」に関しては(テスト・プレッシングズの)ロビー・リストから、何年も前に、他の誰も選ばない曲をやりたい、と言われていました。そうすれば、その曲を自分のものにしてしまえるから、って。で、今回の「Why」で、まさにそれを実践していると思います。シングルになったこともない曲なので、オリジナルがどんなサウンドだったのか、知っている人が比較的少ない。彼らはあの曲をホンマモンのロックに仕上げてますが、いいですよねえ。

Q: HBO のドキュメンタリー『 How Can You Mend A Broken Heart』の成功、バリーのアルバム、さらに今回のあなたのアンディのトリビュートのリリースなどで、アンディや彼の兄たちの音楽が当然ながら再評価され、いっそう深く愛され出しているようです。『 Higher Than a Mountain: The Songs of Andy Gibb』を聴いた後で、気軽なファンにも(さらには超熱心なファンにも)彼らの音楽をもう一度聴き直したい、と思ってほしいですか?

A: いや、それこそ、このレコードの主な狙いのひとつです。僕はよく言ってるんです。80年代初頭に生じたビー・ジーズへの反動に対して、ビー・ジーズ本人たちを含めてさえ、アンディほど大きな対価を支払わされた人はいないんじゃないかって。ライナーにも書きましたが、ビー・ジーズは80年代がはじまると事実上ラジオから追放状態になりましたが、彼らはソングライターとしてひっぱりだこで、バーブラ・ストライサンドの「Woman In Love」とか、ケニー・ロジャースとドリー・パートンの「Islands in the Stream」とか、大ヒットを書いています。でもアンディはそういう形での移行ができなかったので、ポンと見捨てられてしまい、アメリカのラジオの「もうギブ兄弟なんかいいよ」という間違った運動の犠牲になってしまったのです。

あれほどの高みに上り詰めたのに、どん底に落とされたのですから、彼の依存症が手に負えないものになったのも不思議ではありません。本当に悲しいことです。ギブ家の兄たちを再評価したように、そろそろ、アンディと彼の音楽についても再評価する時期だと思います。2022年にはアンディの伝記が出ることになっていますから、読んでほしい。素晴らしい音楽と、その音楽を生んだのに正当に評価されていないその音楽の作り手であるアンディというアーティストにもう少し注目してもらう、この『Higher Than A Mountain: The Songs of Andy Gibb』がその過程に一役買うことができたら嬉しいです。

これについては諸説あるでしょうが、ビー・ジーズに対して吹いた80年代初頭の逆風に対して、一番大きな対価を、兄たち以上に大きな対価を払わされたのはアンディではないか、という指摘にはちょっとぐっとくるものがありました。2022年に出るという伝記も楽しみですが、製作者の思いをこうして読むと『Higher Than A Mountain: The Songs of Andy Gibb』の発売が待たれます。あと3日ですね!

{Bee Gees Days}

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