モーリス・ギブのデビュー・シングル「レイルロード」50周年

1970年4月17日NME紙より

1970年4月17日NME紙より

モーリス・ギブのソロ・デビュー・シングル「レイルロード」は1970年4月17日にイギリスで発売されました。

当時、レコード・ミラー紙が報じたところによれば、もともとはモーリスがビー・ジーズの次のアルバムに入れるつもりで構想した曲だったそうですが、バリーが興味を示さなかったので、それがきっかけになってルルの弟さん(つまり当時のモーリスの義弟)にあたるビリー・ローリーとの共作による一連の曲作りを始めたということです。この時の曲はブートレグで広く出回っていますが、ほとんどが公式には未発表のままです。モーリスのご家族にそのあたりについてお訊きしたところ、長年の間に元の音源が散逸してしまったため、まとめて発表するのが非常に難しいということでした。ロビンのソロ時代のボックスセットをまとめるにもコレクターの方たちの協力や監修したアンドルー・サンドヴァルさんの長年にわたる多大な努力が必要だったことを思うと、残念ながらモーリスのソロ・アルバムがこれから良い形で陽の目を見るのは非常に難しいのかもしれません。それでもこの稀代のミュージシャンの業績がより正しく評価されるためにも、努力と応援を惜しまずにいたいと思います。

トップの写真はイギリスの音楽紙ニュー・ミュージカル・エクスプレスの1970年4月17日号の表紙に掲載された全ページ広告です。

YouTubeにアップされているプロモーション・ビデオは残念ながらかなり劣化していますが、それでもモーリスの身のこなしがとても魅力的だったことがよくわかりますね。立ち姿や歩く姿が抜群にきれいな人だったので、ただただ彼を歩かせるというこのクリップの発想はまさにドンピシャリだったといえるのではないでしょうか。

この主人公ははたして監獄に入っていたのか、それとも「マサチューセッツ」の主人公のように故郷を離れて夢を追っていたのか、いま線路づたいに沿って故郷へ、愛する人たちのもとへ帰ろうとしています。

荷づくりして家に帰ろう
ずいぶん長居したけれど
うれしいよ いまこうしてひとり帰っていける
よくも悪くも わけがあってここにいたけれど
今は荷づくりして家に帰るんだ
だから歩いていこう 線路に沿って
どこまでも歩いていこう

弟や妹に言っておくれ 何もかもうまくいかなかったから
僕は線路に沿って家路につくと
とうとう彼に僕の話をしたけれど
栄光なんて縁がなかった
でもおつとめも終えたし
くよくよしたって始まらない
線路に沿って家路につくのさ
だから歩いていこう ずうっと この線路に沿って
どこまでも歩いていこう

あの娘(こ)に言ってくれ 会いたかった
早くキスしたくてたまらないと
だから僕は歩いていく
この線路に沿って どこまでも
そう 故郷にたどりつくまで

からりとした哀愁のある、旅の三度笠みたいな、ちょっとクールで粋な歌詞です。メロディはとてもキャッチーで、実は当時出たバリー、ロビン、モーリスの3人のソロの曲の中では一番のお気に入りでした。気が付くと「So I’ll walk by the railroad any time any time(ちゃっちゃっちゃららら~)」とハミングしていたりします(誰も周りにいないとき限定!)。

ジョー・ブレナン氏による優れた研究サイトGibb Songsによれば、この曲は1969年12月9日付けのテープに他の6曲と一緒に収められていたとのこと。モーリス自身は1970年のインタビューで、楽器はすべて彼が弾いている(マルチインストゥルメンタリストでしたからね)と語っていますが、また別の機会には参加ミュージシャン4人の名前を挙げているそうです。

ドラムスは後にコリン・ピーターセンの後任としてビー・ジーズのドラマーとなるジェフ・ブリッジフォード(1971年に正式にメンバー入りしています)。ギターにレスリー・ハーヴェイ(ストーン・ザ・クロウズ)、ピアノにルルのアレンジャーだったジョニー・コールマン、アレンジはジェリー・シュリー。ただしピアノとギターはかなりモーリス色が強いので、どの部分にヘルプの手が入っているのかは判然しないとジョー・ブレナンは書いています。

モーリスとビリー・ローリーの共作ですが、もともとモーリスのソロアルバム用の曲だったためでしょう、優れた歌手でもあったビリー・ローリーはバックボーカルにも参加していないようです。

{Bee Gees Days}

 

 

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