ロビン・ギブ、サイト・リニューアル記念ロングインタビュー全文掲載

先日お伝えしたようにロビンのオフィシャルサイトが5月初旬にリニューアルされ、とても明るく読みやすい感じになりました。メンバーズセクションでは未発表の音源や映像も公開されていますので、ぜひご覧になってください。

また「新登場」を記念して、昨年秋から何度かに分けて行われた独占ロングインタビューが5月4日付けで掲載されています。最近のロビンの仕事状況などがよくわかるとても興味深い内容ですので、特別に許可を得て全訳を掲載いたします。

 

Q: ファンは新作を待ち焦がれています! 2008年に『50 St. Catherine’s Drive』というアルバムをレコーディングしたとおっしゃっていましたが、これまでのところ発表されていません。このプロジェクトについてもう少し教えていただけますか。

R: アルバム自体は完成していますが、発表を控えているのは、ぼくにとっての最優先がバリーと一緒の仕事だからです。バリーと一緒にアルバムを作るのがぼく の夢で、できれば近くそれを実現したいと願っています。これが『50 St. Catherine’s Drive』の発表が見送られている理由です。とはいえ、心血を注ぎ、心をこめて作った作品であることに変わりはありません。『50 St. Catherine’s Drive』は現在ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とやっていて日夜作業中の『タイタニック・レクイエム』同様に、一生懸命作った作品なんです。 『50 St. Catherine’s Drive』を発表する段階になったら、他にも作品があって一緒に発表しようと思っていますので、発表を待っていてください。
Q: ピーター・ジョン・ヴェッテーゼと組んだ『50 St. Catherine’s Drive』セッションの作品中でも白眉は「Broken Wings」という曲ですが、ロシアの歌手ヴァレリヤが最近これのハウス・バージョンを録音しましたね。
R: ヴァレリヤが他の人とやった「Broken Wings」のリミックスも含めて、あの曲の発表には関わっていませんが、確かに「Broken Wings」にはスマッシュヒットになる可能性があると思います。もともと「Don’t Go」というタイトルだったんですが、ぼくはタイトルに“broken”っていう言葉が入ってるのが好きなんですよ。なんかこの言葉って人の心に訴えてくると 思うんですよね。この曲の場合、やっぱ「Broken Wings」だよなって思ったんです。「Don’t Go」は実は1984年に書いた曲です。いい曲は時代を超えた命を持つ。いまチャート入りしている曲だって20年前、30年前に書かれたものが多い。そ れにジェームズ・ブラントの「You’re Beautiful」なんか、聞いてると、1969年に書かれた曲だっていってもいいぐらいですよね。

Q: 現在、タイタニック号遭難100周年を記念してご子息のRJさんとクラシックの作品を書いていらっしゃいますね。このアイディアはどんなところから?

R: 単にタイタニック号100周年を前にレクイエムを書いたらいいかなって思ったんです。そこでロイヤル・フィルのイアン・マクレーと会ったら、タイタニック号についてのクラシックの曲っていうのはいいなあって、みんなが言ってくれたんですよね。

Q: 大変に野心的なプロジェクトだと思いますが、どのようなアプローチをとったのでしょう。ポップソングを書くのとは違いますか?

R: 野心的なプロジェクトではありますが、兄や弟とぼくは1967年からオーケストラと仕事をして曲を書いてきましたからね! ビージーズのレコードとか、バーブラ・ストライザンドの『ギルティ』を聞いてもらえば、すごく凝ったアレンジがしてあるんですよ。だからレクイエムを書く といってもポップソングを書いたりプロデュースしたりするのとそう変わりませんでした。いま第10楽章までできていますが、とてもうれしいです。それに息子のロビン・ジョンと仕事ができるのも楽しい。このプロジェクトには大乗り気で、自分がこれまでにした中でも質的に最高のひとつだと確信しています。

Q: この壮大な作品を近くレコードで聴けるわけですか?

R: イエス! 12月(2010年)にロイヤル・フィルと合唱団を使ったレコーディングをスタートしましたが、いま考えているのは2012年4月の100周年の6か月前 にCDを出すことです。レコーディングは順調でオーケストラとの大きいセッションは残りあと1回になりました。

Q: 今回のタイタニック・プロジェクトのために書かれた曲の中には「Daybreak(夜明け)」という美しい曲もありますね。

R: あれはぼくがこれまで書いた中でも一番いい曲のひとつじゃないかと思います。(昨年夏の手術の後で)退院した日に書いたんです。キーボードを弾いていた ら、曲が「起こった」。何時間やっても何も起こらないこともあるのに、もう帰ろうかなっていうときになって、ぱっとアイディアが浮かんで曲が出てきたりし ます。「Daybreak」はキーを弾きはじめたらもうそこにあった、という感じの曲でした。歌詞は今は離れ離れになっているふたりの、愛はすべての悲し みを超える、これから何が起ころうとも永遠の夜明けの中に生きることができる、という信念をうたっています。

Q: そのほかに「Get Real」「One Way Love」などの新作がありますね。

R: そうです。「One Way Love」は片思いの歌でピーター・アンドレをイメージして書きました。「Get Real」は南アフリカの歌手Elan Leaをイメージして書きました。ただ、この辺の曲をどのプロジェクトに使うかはまだ決まっていません。現状ではいつどんな形で発表するかはまだわからな いんです。ここ数か月で書いた曲には他に「All Or Nothing」「Diamonds」などがあります。

Q:  数年前にポール・マッカートニーと一緒に「Too Much Heaven」をレコーディングしたそうですが?

R:  はい。ポールもシングルとして出したがっているのですが、ぼくはバリーも入れたくて機会を待っています。とても良い出来で、世界的に大ヒットして、ユニセ フ募金の役にも立つと思うのですが。でもとにかく、ぼくはバリーにも歌ってほしいんです。1979年、バンドエイドよりずっと前に、ぼくたちが「Too Much Heaven」を国連の子ども基金に寄付して以来、この曲からあがった収益は2000万ドルにものぼります。今でも子どもたちの食べるものや健康、教育 のためにぼくたちのお金が使われていると知ってると、とてもうれしいです。とても誇りに思っています。

Q: 最初のソロアルバム『Robin’s Reign(邦題:救いの鐘)』はきちんとCD化されていませんが、これから再発される可能性はありますか。

R: 『Robin’s Reign』需要や、正式に発売していない『Sing Slowly Sisters』に対するアングラ市場の興味には驚いています。けっこうな額を出しても欲しいっていう人がいるんですよね!  ぼくも『Robin’s Reign』はCDで出したいのですが、現段階では次のリイシューが何になるかまだわかりません。今年、バリーとぼくで取り組む事柄です。待っててくださ い!

Q: 振り返って、あなたが活動されてきたこの40年で音楽業界に大きな変化があったと思いますか? 30~40年前と比べてヒット曲の質は変わったでしょうか?

R: 振り返ってもさほど変化があったとは思いません。ラップ音楽の時代が続きすぎたので、メロディ重視の、人と人のかかわりをうたった音楽に戻るべきじゃないかと思 います。そういう曲って変わらないと思うんです。みんなそういう曲に飢えてると思います。時を超越したメロディが愛されるのですから、そこに立ち帰るべき じゃないでしょうか。ラジオのトップ40も復活すべきで、そうしたらレコードの売り上げも自動的に増えるんじゃないかなあ。

Q: ここ数年、チャリティ活動に力を入れていますが、あなたにとっての意味は?

R: どのチャリティも関われたことを誇りに思っていますが、特に英空軍爆撃部隊の慰霊碑関連の活動を誇りに思っています。音楽以外でぼくが本当に情熱を傾けて いることのひとつなんです。このキャンペーンを通じてたくさん素晴らしい人たちに出会えたし、まだ部隊の人たちが元気でいるうちに除幕できるように、来年 建立したいと思っています。

Q: すでに輝かしい業績を築いたわけですが、音楽やそれ以外でまだ何か「これをやりたい」ということはありますか?

R: 何か自分が好きで特別なテーマについてのテレビの歴史ドキュメンタリーの仕事がしてみたいです。そういう仕事だとしっくりくるんで、マイケル・ペイリン(訳注:伝説的な英国のコメディユニット『モンティ・パイソン』のメンバー)みたいに質の高いテレビの仕事がしてみたいんです。政治みたいに意見が分かれるような問題ではなく、みんなにも自分にも興味があるような話題をとりあげてみたいで す。

Q: 仕事をしていないときにはどうやってリラックスするんでしょう? 休日の好みの過ごし方は?

R: 仕事をしていないときは読書をします。趣味はないですね。音楽が趣味だから。そのことは本を読んでいるときでも変わりません。趣味らしきものといえば、絵を描くのが好きです。パディと父の絵を描いて自分でも気に入っています。

Q: 音楽は聴きますか?

R:  3分で終わっちゃうようなポップソングよりクラシックを聴く方が好きです。ゆったりできるし、長いし。でもワーグナーとかベートーベンみたいな重厚なクラシックは苦手です。モーツァルトは大好きです。

Q: ちょっと前にオートハープを使って作曲している写真がありましたね?

R: バリーもぼくもずっといろんな楽器を使って曲作りをしてきました。楽器を変えると違うサウンドの着想が湧くんです。「ホリデイ」はオートハープで書きまし た。「獄中の手紙」も同じです。だから、答えはイエス! そうなんです、みなさん、ぼくって「オートハープ・マニア」なんで~す!

インタビュー:アン・グル―ジャン

 

『タイタニック・レクイエム』や完成しているソロアルバムも楽しみですが、バリーとの仕事、バリーやポール・マッカートニーと一緒の『Too Much Heaven』も早く実現するといいですね。

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