ジェイソン・イズベル、バリー・ギブを語る(最新インタビューより抜粋)

ジェイソン・イズベルのInstagramよりー「バリー・ギブと一緒」

昨秋、「バリー・ギブとレコーディングした体験」を写真入りでツイートして、ビー・ジーズ・ファンの注目を浴びたジェイソン・イズベル既報をご覧ください)。

音楽サイトStereogum.comのインタビュー・コラム、We’ve Got A File On Youで、そんなジェイソン・イズベルが取り上げられました(オンライン版2020年5月14日付)。ロング・インタビューなのですが、バリーに関する発言だけ取り上げてご紹介します。「現代最高のシンガー・ソングライターのひとり」と言われ、自身のアディクション体験など内面の彷徨を歌った作品で知られるイズベルですが、なかなか謙虚な感じで好感度大。

Stereogum: 最近、バリー・ギブとスタジオ入りしましたね。

イズベル: どこまで話していいのかわからないんだけど、ぼくが何をしたかについては話せます。コブ(レコード・プロデューサーのデイヴ・コブ)がバリーと仕事をしていたんです。最終的にどういうプロジェクトになるのかは、ぼくは知らない。バリーはものすごいビッグ・スターとして仕事をしてきた人だから、情報の扱いには周囲もずっと慎重みたいで、あのレベルでの意思決定になるともうぼくには何がなんだかわからない。ぼくなんかがレコードを作るときには、電話して、「3週間スタジオを使うよ」って連絡して、曲を何曲か書いて、スタジオ入りしてそれをレコーディングして、それからミキシングしてマスターリングして、あとは出す、っていうやり方なんですけどね。だけど、サーともなれば、そうはいかないみたいんですよね。だから、これからどういうことになるのか、ぼくがぜんぜん知らない。

もう、こわかったですよ! バリー・ギブとハーモニーを歌わなくちゃいけなかったんですよ! やった曲のひとつに、ぼくが高音を担当する部分があったんです。バリーが低い方を歌ったの。何度かやってみたんだけど、デイヴがコントロール・ルームから何か言ってきたんで、「デイヴ! おれたちふたりいるけど、ひとりはバリー・ギブじゃないんだよ! ちょっと待ってくれよ!」って言っちゃいました。

そうそう、バリーにね、いまだにそんな高音が出せるのはどうしてなんですか、って訊いたんですよ。ああいう人に訊きたいことがあっても、失礼があっちゃいけないよね。「その年でなんでそんな声が出せるんですか(笑)?」とかさ。そんなことは言っちゃいけない。言っちゃいけないけど、どうしたってぼくより年上なんだけど、バリー・ギブはいまだにバッチリなんですよ。ファルセットだって、いまだに出せる。で、ぼくは「どうして可能なんですか?」と言った。そしたら彼は(バリー・ギブのアクセントで)「そうね、コカインが好きだったことはないからね」って言ったんです。ああ、なるほど!ですよ。「そう、これを歌いこなしたければ、10分おきとかに歌ってないとダメなんだから、『そんな(コカインに使うような)時間はない』って思ったんだな。だから鼻腔や声帯を壊したりしなかった」って。すごいよね! これ、さいっこうの答えですよ!
他の人たちもスタジオ入りしていました。ぼくは何曲かボーカルをやって、何曲かギターをやりました。他の歌手も来てました。世界でも最高の歌手の人たちですよ。カントリー歌手として、もしここで名前を出したら、「ああ、世界最高峰の歌手たちだ」っていうような人たちです。その人たちがみんなバリー・ギブの前では緊張してるんです。
すごく面白い体験でした。あるとき、コントロール・ルームに座ってたんです…デイヴって面白いやつでね。いろんな話が聞きたいから、わりとダサい質問をしたりするわけ。で、「これまで観た最高のコンサートってどんなのでした?」って訊いてきたんですよ。その場にいたのは、ぼくと、ものすごく成功してて大人気のカントリー歌手の人と、それにバリーでした。カントリー歌手の人はなんかかっこいい答えをしました。で、ぼくもなんかちょっとアホなことを言って、そしてね、バリーは、「ロンドンにクラブがあったんだけどね。中に入ると作り物の壁があって、そこから本を引き抜くと壁が開くんだ。あるとき、そこに行ったら、ビートルズローリング・ストーンズが両方そろってたんだよ。ブライアン・ジョーンズが床で眠ってた。それがコンサートの最中で、コンサートはオーティス・レディングのだった」。ぼくは、「ぬわにー、そんな状況にほんとにいた人間がいるなんて」状態でしたね。もう、すごいよね。

ぼくはバリー・ギブのソングライティングの偉大さを認めている人間のひとりです。今回のこのプロジェクトが形をとったら、もっと大勢の人が認めるようになってほしいと思っています。でも、ぼくが知っている、まじめでまともなソングライターは、パターソンやクーリーも含めて、みんなバリーのソングライティングがどんなにすごいか話してましたよ。

少なくともこの国で、ソングライターとして真剣に活動している人間なら誰だって、バリーの曲を勉強して、特にアメリカン・ミュージックが今よりまともに取り上げられなかった時代に、あまりにもビッグ・ヒットだったために、正当に評価されていないということに気がついています。ほら、ディスコに対する反動があったじゃないですか。あれはほんとは人種差別だったし、ゲイの文化に対する反動だった。わかってない人が多いけど、ポーランド人をバカにするジョークみたいなものなんですよ。ポーランド人をバカにするジョークを言う人たちは、あれがナチスのプロパガンダだったってことに気がついてない。それと同じだ。ディスコをバカにする人は、ディスコについてジョークをいうたびに、実はプエルトリコ人やゲイをバカにしているんだっていうことがわかってない。まあ、これは別にいいんだけどね、ぼくが言いたいのは、バリー・ギブが書いた曲は世界的なレベルの名曲なのに、あまりにも耳にしすぎたせいで、みんなその曲がどのぐらい素晴らしい曲なのか忘れちゃってるということです。

まったく同感です。アマゾンの『サタデー・ナイト・フィーバー』のレビューで、「あまりにも流行っていたせいで、きっとおバカな映画に違いない、と思いこんでしまって避けていたのだが、映画を観てサントラを聴いたらその素晴らしさに驚いた」というようなことを書いているレビュワーがいらっしゃいました。それから何かの番組でビー・ジーズ特集が放送されたときに、「えー、今さらビー・ジーズ~?」と思ったけれど、聴いたらどの曲も素晴らしくてファンになってしまった、という人もいました。

流行ってしまった、流行りすぎてしまったためにこれだけ苦しんだグループも珍しい。唯一無二ではなかろうか。それを力説してくれたジェイソン・イズベルに感謝するとともに、ひとつだけ言いたいとすれば、このインタビュー(のこの部分)はもちろんバリー・ギブについてなのですが、その名曲を作ったのはバリー・ギブ単独ではなく、バリー・ギブと弟のロビン&モーリス・ギブによる不世出のソングライティング・チームであったということでしょうか。

それにしても、いまやバリーは名実ともにレジェンドですね。バリーが話題にする「思い出」には、ビートルズ、ストーンズ、ブライアン・ジョーンズ、オーティス・レディングなどの名前が綺羅星のように輝いていて、彼はレジェンドたちが生きた時代をまさに生きた人なのだということを改めて思い出させます。

{Bee Gees Days}

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