バリー・ギブ、家族と仕事について語る(1997年OK!誌インタビュー)

バリーとアリちゃん(当時6歳) (1997年3月)
バリーとアリちゃん(当時6歳)(1997年3月)

バリー家の末っ子アリ嬢は12月29日生れ。今年で20歳になりました。これは1997年、6歳だったアリちゃん(6歳当時なら「ちゃん」付けも許されるでしょう)とバリーのほほえましいショット。

バリーのサイトで新しく公開されている「Daddies Little Girl」はアリちゃんの16歳のお誕生日にバリーが贈ったものだったとか。アリ嬢のTwitter発言によれば今年のプレゼントは新車だったようです(さすがに豪華である)。

そんなめでたいタイミングでもあり、今日は、ブリットアワーズでビージーズが業績賞を受賞した折りにバリーがイギリスの自宅で「OK!」誌の取材に応えたインタビューをバリーの発言中心にご紹介します。

バリー・ギブにイギリスの自宅でインタビュー

1977年、ジョン・トラボルタ主演の「サタデー・ナイト・フィーバー」の映画とサントラの未曽有のヒットにより、圧倒的な人気を誇ったビージーズ。ところが80年代に入ってディスコ・ファッションとともに音楽の流行もすたれ、ビージーズの人気にも大きな変化が見られました。

突然、誰もぼくたちに関心を持たなくなって、あれは本当にきつかったですね。

その後もビージーズの活躍は続きましたが、彼らの業績がきちんと評価されることはありませんでした。ところが今週(1997年3月)、ビージーズはイギリス音楽業界のグラミー賞ともいうべきブリットアワーズで業績賞を受賞。しかしビートルズやプレスリーをしのぐレコード売り上げの実績を誇り、ソングライターとしてはバーブラ・ストライサンド、ダイアナ・ロス、ドリー・パートンなどそうそうたる顔ぶれに大ヒット曲を提供してきたのに、ビージーズの存在はまじめに評価されない傾向が見られます。

なんかビージーズを笑いものにしてコケにするのを、みんな楽しんでるみたいなんですよね。そういう傾向があるから逆にぼくたちの方ももう一度やってみようという気持ちになったのかも。ぼくはもういろんなことが気にならなくなってきたんです。もう成功したいとあせっているティーンエージャーじゃないぞ、という境地になれたんですね。ヒットを出したい一心で自分を変えようとしていたころとは違う。今は別にヒットなんかどうでもいいという心境です。

とはいえ、ビージーズは新作アルバム『Still Waters』の発表を控え、年内には18カ月のツアーも計画されています。

もう一度だけメリーゴーランドに乗ってみようかという気持ちなんです。もしそれで気に入ってもらえたら、もうちょっとやってみるかも。

50歳のバリー(訳注:記事が書かれた1997年現在です)はバッキンガムシャーに邸宅をかまえるほか、マイアミにも家を持って一年の大半を過ごしています。

マイアミ暮らしはとても気に入っています。マンチェスター育ちなら当然ですよ。マンチェスターでは冬の寒い朝には水道が凍っちゃうんですもん。

アメリカではティモシー・ダルトン主演の映画『Hawks(邦題:この命尽きるまで)』の脚本に関わるなど映画業界進出にも関心を示して忙しいバリーですが、イギリスでは静かな毎日を送っているそうです。

自分ではぜんぜんポップスターだという気がしないですね。ポップスターっていうのはポップスターであること、目立つことを楽しむ人種のことであって、ぼくとはぜんぜん違います。

変遷の激しいポップス界でバリーの家庭生活は安定していることでも知られています。1967年に出会ったリンダ夫人との間には4人の男の子と6歳のアレクサンドラ(アリ)ちゃんがいます。アリちゃんはバリーとリンダが望みに望んで授かったひとり娘。予定より16週間も早く未熟児として生まれたために成長が危ぶまれました。

医者に「この子のことを心から思ってください。その思いが通じれば命が助かるかもしれません」と言われて、その可能性にかけて思い抜きました。3カ月間、寝てもさめてもこの子のことばかり思っていましたね。車のミラーにも小さな十字架をかけていたんです。

この年で娘が持てたなんて本当に素晴らしいことです。あとになってアリに、ぼくがへその緒を切ったんだよと話したら、「わあ、ありがとう、パパ」と言われて嬉しかったなあ。

バリー自身の父親ヒュー・ギブは孫娘が無事に生き延びたことを知らずに亡くなり、バリー自身も3年前に健康上の問題を経験しました。

心臓に異常があったんです。別に心臓発作を起こしたわけじゃないんだけど、いろいろと書かれましたね。みんな勝手なことは言わないでほしいなあと当時思いました。弟たちの話をするときにはとっても気を使いますね。

アンディの死も悲しい出来事でした。

あれ以来、アンディを救うためにもっと何かできたんじゃないか、もっと何か言えたんじゃないかと、何千回も自問を繰り返しました。

バリーの長男スティーブンがヘロイン中毒を克服したように、バリー、ロビン、モーリスの三人もそれぞれに薬物その他の中毒と闘った過去を持っています。心の問題もあったようです。バリーは、自分に自信を持てないのは「ギブ家の特徴かも。でも有名人で自分に自信を持っている人って会ったことがないなあ」とバリー。「Still Waters」はそんな彼ら自身の歩みから生まれたアルバムだそうです。

たくさんの苦しみを経験してきました。だから「Still Waters」の曲には個人的な意味を持つものが多いんです。音楽的にはリズム・アンド・ブルース色が濃くなっていますが、取り上げているテーマは深く潜行しています。

ビージーズは外見も変わりました。ロングヘアとTシャツ・ルックからドナ・カランのスーツ姿へ。

ボリュームたっぷりのヘアスタイルと派手な大ぶりネックレスのことはいろいろ言われましたけど、文句を言う人は当時の自分がどんな服装だったかを思い出してみるといいと思う。

ポップスの世界がもっと「イノセント」だった時代を懐かしみつつ、バリーは「辞める気はない」と言います。

音楽はぼくにとって一生の問題です。グループとしての活動であれ、他の人をプロデュースするのであれ、曲を書くのであれ、とにかく音楽が大好きなんです。まだまだしたいことがたくさんあります。まだまだ老けこむ気持ちはありませんね!

(「OK!」1997年3月2日号、記事:Chris Hutchins)

© 2009 - 2024 Bee Gees Days. 当サイト記事の引用・転載にあたっては出典(リンク)を記載してください。

おすすめ

error: 記事内容は保護されています。