【バリー・ギブ・インタビュー】映画『グリース』主題歌のデモが40年ぶりに発掘されました
今日は5月1日。そう「若葉のころ」です。あの曲で印象的なのは、なんといっても「Don’t ask me why, but time has passed us by」(なぜなんて聞かないで、時が流れ過ぎたんだ…)という部分ですが、時は流れ、映画『グリース』も40周年を迎えて、このほど、な、な、なんとバリーが歌う主題歌のデモも発掘されました!
少し古いニュースなのでご存じの方も多いと思いますが、エンターテインメント・ウィークリーの記事【映画『グリース』40周年に向けてバリー・ギブが長年行方不明だったデモ音源を公開】(Entertainment Weeklyオンライン版2018年4月20日付)の内容を簡単にまとめてご紹介します。
ヒット曲を書くには何週間も何ヶ月も、時には何年もかかるものなんだ…が、ときにはこれが2-3時間で書けちゃったりする。そして、高校を舞台にした1978年のオリジナルミュージカル『グリース』のテーマ曲を書いてくれ、と頼まれたバリー・ギブのケースが、まさにそれだった。
【グリース 40th Anniversary Edition [4K Ultra HD/Blu-ray 日本語有り](輸入版) 】の発売を前に(訳注 全米では4月24日に発売されました)バリー・ギブに話を聞いてみた。すると、今でも耳について離れないあの強烈な主題歌「グリース」(映画ではフランキー・ヴァリが歌った)をレコーディングしたときの逸話だけでなく、長年行方不明だったこの曲のデモまで聞かせてもらえたのだ。(デモ音源へのリンクは上記の記事中にあります)
実は71歳になったバリーは取材の段階では、40年の時を経て発掘されたこの音源をまだ聴いていなかった。けれど曲を作った時のことを鮮明に覚えていたので、デモを聞くまでもなかったのである。「覚えてますよ。でもその後聞いた記憶はない。でも半日で書いてしまったのは覚えています」
ENTERTAINMENT WEEKLY: 実際にテーマ曲を書いたときのことでは何を覚えていますか?
バリー: 妻が外出してたんで、僕は子どもの世話をしてました。そしたら(ビー・ジーズのマネージャーで『グリース』のプロデューサーだった)ロバート・スティグウッドが電話をかけてきて、「『Hopelessly Devoted To You』と『You’re the One That I Want』ってすごくいい曲が2曲そろっているんだ。でもまだタイトルソングがないんだよ。『グリース』っていうタイトルで1曲書いてくれないかな?」っていうもんで、「どうやって、『グリース』っていう曲にするんです?どうもっていっていいのかわからないな」って言ったんです。そしたらロバートが、『ただ、グリース、ダダダダダー、グリース、ダダダダー』みたいな感じで」とか言って、なんかあまり役に立たなかったんですよ。だけど、明るくて太陽がいっぱいって感じの曲が欲しいんだな、ってわかりました。ほんの半日の出来事でしたね。僕、ドックに散歩に行ったんです。
場所はどこだったんですか?
ここ、マイアミ。ビスケイン湾ですよ。それで、僕、ドックに出ていって、考えながらちょっと歩いたんです。『グリース』ってグリーサーとかの時代の象徴だよなあ、って。で、僕のその世代なんですよ。50年代後半が好きなの。それで、そうだ、グリースっていう言葉についての歌にすればいいんだ、時代をあらわす言葉なんだものな、って思いついたんです。で、『グリース』が合言葉になったんです。
歌詞を紙にまとめるまでの時間はどのぐらい?
2時間ぐらいですね。何かアイディアが浮かんで、頭の中で『これはいい、やれ!』って声がすると、あとはやるだけ。ちゃんと意味が出てきて、あるべき場所に落ちつく。口では説明できないんですけどね。
いつもそんなに簡単に行くなら…。
いえ、行きません。どの曲も少しずつ違う。いっぺんにどっと浮かぶ時もある。だいたいは夜中ですね。僕にとってはね、夢が曲をくれるんです。そしたら、あとは考えを具体的な形にするだけ。頭の中で、「やるんだ、これはいいぞ」って声がすれば、仕事にかかります。でもだいたいは、「これはやめとけ!」っていう声がするんです。
このデモはつい最近40年ぶりに発見されたそうですね。そんなに長くどこにあったか知っていますか?
知りません。ユニバーサル/キャピトルが僕たちのデモやオリジナルのレコーディングをみんな社内にかかえていて、僕は内容を知らない。どうやって見つかったかも教えてもらってません。
40年なんて信じられます?
もちろん、信じられますよ。ほら、ちょうど『サタデー・ナイト・フィーバー』でも同じ気持ちを味わったばかりですからね。
『グリース』制作当時のあなたたちはバカ売れしていました。ちょうど『フィーバー』の時代でしたからね。デモのボーカルも素晴らしい。どうしてご自分で歌わずにフランキー・ヴァリにあげたんです?
制作側は映画の舞台になっている時代に活躍した人に歌わせたかったんです。彼しかいないでしょ。フランキー・ヴァリは僕にとっても一番好きなポップ・シンガーです。60年代半ばには本当に大人気でした。だから、すぐに彼に決まりました。問題は、やってくれるかなあ、ということでしたね。映画『サージェント・ペッパー』の撮影のどさくさで、(主演していた)ピーター・フランプトンがいたもんだから、彼に「グリース」のギターをやってもらいましたよ。
フランプトンが「グリース」で演奏してるのと映画『サージェント・ペッパー』を結びつけたことはありませんでした。
そうなんですねえ。当時、全員そろってましたからね。彼に頼まない理由がない。
エリック・クラプトンのすすめでマイアミに引っ越したというのは本当ですか?
クラプトンが『461 Ocean Boulevard』を作ったばかりで、あの家に滞在するべきだ、って言ったんですよ。海辺に滞在してアルバムを作るっていう発想がすごく楽しそうだった。太陽、それにマイアミ独特のきれいな空。いつだって気分がいい。いつも幸せで仕事をしたい気分でいられる。そうです、エリックが、「アメリカでアルバムを作ったら? 特にマイアミ」って言ったんです。で、マイアミに行った。いいアドバイスでしたね。
「グリース」のデモでピアノを弾いているのはあなたですか?
いえ。僕はピアノはひきません。ポロポロぐらいはひけますが、それより僕はリズム・ギタリストですね。
手を叩いてるのは?
誰だろ(笑)。僕かな。手を叩いてた記憶がない。なんせ僕、40年ぶりにデモを聞いたもんで。
レコーディングはどこで?
たぶんヒット・ファクトリー。昔のクライテリア。
「グリース」の曲でバックボーカルをやってますね。自分のアイドルだったフランキー・ヴァリと一緒に歌うなんて気分よかったんじゃないですか?
そりゃあもう。やったのはブリッジの部分です。What are we doin’ here?ってところね。あそこを一緒にファルセットで。僕が少し、彼も少し。すんばらしい声でした! 「My Eyes Adored You」とかああいう曲ね。偉大なポップ・シンガーです。
このデモをみんなに聞いてもらえるのは嬉しいですか?
いや、それほどでも。それより映画そのものを楽しんでほしい。僕はあの曲を作ったことでほんのちょっぴり貢献しただけです。ロバートはとても気にいってくれてたと思いますが、(『グリース』のプロデューサーだった)アラン・カーはそれほどでもなかったみたいですね。まあ、僕はいつもそうなんで。ディオンヌ・ワーウィックの時もそうでした。彼女、「ハートブレイカー」があまり気にいらなくて。バーブラ・ストライサンドの時もですね、曲を提供したこっちほどには、彼女の方は曲が気に入ってませんでしたね。でもやるしかない。ソングライターってそんなもんです。ディオンヌ・ワーウィックにあの曲を歌ってもらうには説得が必要でした。でもフランキー・ヴァリは説得なしで歌ってくれました。
最後に、ジャスティン・ティンバーレイクとジミー・ファロンの『バリー・ギブ・トーク・ショー』の感想など聞かせてください。
ジミーも好きだし、ジャスティンも好きですよ。この年になるとですね、自分で自分を笑うのが楽しい。だから気にしてません。まったくもってミョーな体験ですけどね。でもとにかく楽しい。自分で自分を笑えないとしたら、問題ですね。
(Chris Nashawaty)
奥さんが留守で子守をしていたとは、バリーはイクメンだったのですね。それにしてもあのピアノは誰? これからもっともっとデモが発掘されてリイシューが出れば良いのですが、完璧主義者のバリー自身があまり「完成形でないもの(デモやアウトテイクなど)」の 発表に積極的ではないともいわれていますから、今後の動きが注目されます。
40周年記念の日本盤『(初回生産限定) グリース 製作40周年記念 HDリマスター デジパック仕様 DVD&ブルーレイ [Blu-ray]』は7月4日発売予定。
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