【1978年12月】フォーティーン誌「アンディ・ギブのライヴ体験記」(パート1)

アンディが表紙の「フォーティーン」誌(1978年12月号)
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3月はアンディ・ギブの誕生月でもあり、彼が世を去った月でもあります。アンディ特集の一環として、全盛期にアメリカの雑誌で取り上げられたアンディのコンサート・レポートをご紹介します。

「フォーティーン」誌1978年12月号は表紙もアンディで、ビー・ジーズの記事(2ページ)も掲載されていました。

コンサートでアンディを見たファンから「まじかでアンディを見た」感激をつづった投書が山のように届いたので、その中から2篇を選んで掲載したということです。

■ 最初のヒット「恋のときめき」を聞いて、アルバム「恋のときめき」を買ったわたし。77年の暑い夏をアンディ熱にとりつかれて過ごしました。秋風が立って夏は過ぎても、アンディ熱はあがりっぱなし。アルバムからシングルカットされた「愛の面影」を聴いていました。

アルバムの裏ジャケで見るアンディは、とてもセクシーなのに、どこかイノセントな感じ。これはどうしてもライブで見たい、という気持ちがわきあがってきました。
早速、アンディのニューヨーク公演のチケットをとろうとしたのですが、すでに手遅れ。ああ、アルバム・ジャケット通りのアンディを一列目で見てみたい、と思いながら、なんとか気をとりなおして、二枚目のアルバムを聴いて毎日を過ごしていました。テレビのバラエティ番組でも「シャドウ・ダンシング」を歌うアンディを2回見ることができました。そのたびに、ああ早く生で見たいなあ、という気持ちはつのるばかりでした。

ところがなんと、わたしの誕生日の1週間後にアンディがニュー・ジャージーのテーマパーク“グレート・アドベンチャー”でコンサートをすることになったんです! しかも、わたしの彼が誕生日のプレゼントにと、パークのチケットを買ってくれたのです。

当日、大興奮で出発したわたしたち。もう少しでパークに着くというところで渋滞に巻き込まれてしまいました。一瞬、もう間に合わないかも、と思ったのですが……なんとか抜け道を使って駐車場へ。会場からはかなり遠い位置に駐車したので、そこからの歩きがまた大変で、彼には「こんなに大変な思いをさせてごめんね」と謝りました。

その日はコンサートが2回予定されていました。6時からと9時からです。着いたときにはもう7時になっていて、駐車場から歩いただけでかなり疲れていたので、9時からの回に行こうと決定。時間ができたので、パーク内を見物することにしました。ところが、見ていると、パークのはしっこの方で、なんだかどやどや走っている人の群れがあります。でもとくに気にとめずに、トイレに入りました。トイレで並んでいるときに、近くにいた女の子たちとアンディ・ギブの話になったら、なんと、6時の回を見ようと、午前10時から開演を待っていた人たちがいるとか。そこで、ふいにわたしは気がつきました。あのとき走っていたのは、アリーナに入ろうとしている人の群れだったんだ! わたしの彼が、すかさず、わたしの腕をにぎって、人ごみの中を走りぬけてくれました。

わたしたちはアリーナに入ろうと、あらゆる手をつくしました。でもどうしても入れません。どこもかしこも人、人、人の壁。これはもう、事実を認めるしかありません。アンディを見るなんて無理なんだ…。うーん、しかたがない。せっかくこんな楽しい場所に、やさしい彼氏と来ているんだし、もうあきらめて楽しむことにしよう…。

そう決心して、何かアトラクションに乗ることにしました。わたしが選んだのは「暴走列車」というライドです。汽車に乗って、ジェットコースターみたいになっている丘の上に来たとき、右の肩ごしに下を見ると……アンディが見えたんです!!!! ライドに乗っている人たちの悲鳴ごしにアンディを見ている観客のキャーキャーいう声が聞こえてきました。汽車が下り坂に入っても、わたしの頭は、なんとかアンディを見なくちゃ、ということでいっぱいでした。とうとう汽車が止まりました。しかもそれがアリーナの入り口のすぐそばだったんです。しかも今度は誰もいません。みんなアリーナの中に入ってしまったようです。わたしと彼は、なんだか信じられなくて、顔を見合わせました。入れてもらえるのかな? まだ場所があるかな? 今度はなんだかぜんぜん平気そうなのは、いったいどうして? わたしたちはゲートに近づくと、なにげない感じでアリーナの中に入りました。入れた! アンディがいる!!!

わたしたちは、立って拍手している人の間を進んでいって、とうとう2階席の一番前に立ちました。アンディにどっぷりと浸る前に、観客の反応が知りたくてあたりを見回すと、女の子たちはみんな気絶しそう。氷が配られています。「ウィー・ラヴ・アンディ」という叫びが観客からいっせいにあがっています。

アンディが見えました。その笑顔から光がさしているようで、彼から目が離せません。真っ赤なシルクのシャツを、さりげなく腰のまわりで結んでいます。ヴィブラートのかかったやさしい歌声に、わたしは、ふと気がつくと、曲のメロディにあわせて体を揺らしていました。観客も全員が同じように揺れています。アンディの体の動きと一体化しているみたいです。アンディはとてもセクシーに、一生懸命に動きまわって、その様子を見ているだけで、こちらまでにこにこしてしまいます。曲と曲の間に、ときどきとっても魅力的な笑顔を見せてくれました。ビートが重たくなっていきます。アンディはバンドのリズム・セクションにあわせて、重たげな動きを見せてくれました。

バンドは、ドラムス、シンセサイザー、キーボード、それに数人のバックアップ・シンガーという構成。アンディの声にぴったりあっています。銀色の調べが心に沁みます。はじめから盛り上がってキャーキャーいっている観客は、アンディの歌を聴くと、いっそう興奮していっそうキャーキャー。ところがアンディには熱狂した観客を静まらせる力もあったのでした。アンディが「シャドウ・ダンシング」を歌いはじめると、観客のエネルギーは爆発せんばかり。みんなベースのリズムにあわせて手をたたきます。アンディが「ワーズ」を歌うと、一瞬、悲鳴のようなみんなの叫び声が静まって、ひとつひとつの音をはっきりと聞き取ることができました。

最高に盛り上がったのは、アンディが「シャドウ・ダンシング」を歌ったときと、アンディがシャツを脱いだときです。そのほか、アンディがアコースティック・ギターを弾いたときと、新しくヒット中の「永遠の愛」を紹介したときにも、とても盛り上がりました。

どんな素敵なものも、みんないつかは終わる、と言いますけれど、素敵なコンサートも同じ。とうとう終わってしまいました。でもハッピーエンドです。観客は大満足。スタンドから出る人たちは、みんな笑顔になっていました。帰り道、カーラジオから「シャドウ・ダンシング」が流れると、彼もわたしも笑顔になりました。「これを歌うアンディをライブで見たんだよね!」って、今のわたしは言えるんです。おもしろいのは、わたしの彼も、とっても楽しかったと言ったことです! アンディみたいにセクシーな男性に自分の彼女が夢中になっていたら、男の人ってやきもちをやくのかな、と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。観客の中には、女の子と同じぐらいに夢中になっている男の子がたくさんいたんです。

ですからアンディ・ギブは本当に素晴らしいアーティストで、どんなに苦労してもコンサートに行くだけの価値があると思います。もしまたどこか、わたしが行けるような場所でアンディがコンサートをしたら、彼に車を満タンにしてもらって、アンディ・ギブという「グレート・アドベンチャー」を楽しみに、またふたりで一緒に出かけよう、そう思っています。

臨場感のある、ほほえましいレポートですね。彼氏もいいやつそうだ~!「ワーズ」で観客がしずまった、というところも嬉しいですね。最初にアリーナに入るのに苦労した、というところから、これは有料パークの中の無料の出し物だったのだろうと思います。アンディ見たさに大勢の観客がパークにつめかけたのでしょう。

しかしシャツを脱ぐと観客が盛り上がるというのは……やっぱり“アイドル”だったのですね。アンディの歌っている写真で上半身が裸のショットが多いのは、それが呼び物だったからなのか!

パート2のレポートは、また近いうちにご紹介します。

{Bee Gees Days}

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