【Rolling Stone誌2020年12月】デイヴ・コブ(プロデューサー)が語る『グリーンフィールズ』レコーディングの苦労談

ふたりのレジェンド、バリー&ドリー(名前の響き的にもお似合い!) 画像はBarryGibbVEVO – ”Words (Greenfields Studio Sessions) ft. Dolly Parton”より

昨年暮れ、Rolling Stone誌(オンライン版2020年12月29日付)のカントリー・セクションに掲載された名プロデューサー、デイヴ・コブがコロナ禍とソーシャル・ディスタンシングのなか、『グリーンフィールズ』製作にいかにして取り組んだかという記事を、バリーに関する箇所だけざっとまとめてご紹介します。

デイヴ・コブ、パンデミックのなか、ビー・ジーズのバリー・ギブと組んでレコーディング

さすがの名プロデューサーもドリー・パートンとバリー・ギブには、たじたじ…

グラミー賞に輝くプロデューサーのデイヴ・コブは、アーティストたちがナッシュビルに到着すると、RCAのスタジオAに連れていって、まずすることがある。これまでどんな偉大なミュージシャンたちがそこでレコーディングしてきたか、話してきかせるのだ。ところが、バリー・ギブのニューアルバム『グリーンフィールズ』のために「ワーズ」を吹き込みにやって来たドリー・パートンには、このいつものルーティンが通用しなかった。

「いつもは、『ここでドリーが“Jolene”や“I Will Always Love You”をレコーディングしたんですよ』っていうのが聞かせどころだったんですよ。ところが、ドリーは、まさにその場所に立って、『ああ、あたし、ここで”Jolene”と”I Will Always Love You”を歌ったのよね』って言うんだもんなあ。ドリーが先に、『昔はね、こんな風にやってたのよ~』とか思い出しちゃってさ」

というわけで、デイヴは口をつぐみ、歴史の生きた証言に一生懸命に耳を傾けたのだとか。そして彼が”レコーディング”のボタンを押すと、『グリーンフィールズ:ザ・ギブ・ブラザーズ・ソングブックVol. 1』の第一回セッションが開始された。ドリーとバリーという初日のレコーディング・メンバーを前にデイヴも緊張していた。「ギターを弾く位置に向かって歩いていたら、脚ががくがくしちゃった」そうである。

だがグラミー賞に輝く(今年はプロデューサー・オブ・ジ・イヤーにもノミネートされている)デイヴは、音楽業界きっての大物たちを相手に力を発揮して現在の地位を築いてきた男である。(「ぼくは、自分の実力以上の状況に自分を追い込んで、自分よりずっと優れた人たちと仕事をするのが好きなんです」とデイヴは言う) デイヴがこれまで関わった作品には、レディー・ガガの『アリー/スター誕生』サウンドトラック、ジョン・プラインの最後のアルバムにあたる2018年の『The Tree Of Forgiveness』、そして最後の曲となる『I Remember Everything』などがあり、デイヴ自身のヒーローであるギタリストのマイク・キャンベルとキーボードのベンモント・テンチ(トム・ペティズ・ハートブレイカーズ)がクリス・ステイプルトンの新作『Starting Over』に即席バンドとして参加したときも、コントロール・ボードを操作したのはデイヴである。

三密を避けてのレコーディング

こうした夢のような思い出やレコードも、すべてコロナ禍によってスタジオの暮らしが一変する前の話だ。ロックダウン中にはレコーディングを休んでいたデイヴが、RCAスタジオAに戻ったのは、ルーカス・ネルソン、ブランディ・カーライル、アンダーソン・イースト、ライヴァル・サンズのプロジェクトに参加するためだった。こうしたセッションはいずれもスタジオAで、パンデミック下の新しいルーティンを踏まえて実施された。

「検査で陰性の結果を出した人以外はスタジオに入れません。各セッションの最初にまず検査をします。幸い、ほんとに大きなスタジオなので、コントロール・ボードを大きな部屋に移して、誰もコントロール・ルームには入れないようにしました。狭いスペースで密にならないようにね。それから面と向かって話したりしないこと。必ずマスクを着用すること。これで十分かどうかはわかりませんが、とにかく努力しています」

目を閉じた時のバリーは最強

『グリーンフィールズ』の発売が1月8日に迫るなか、デイヴが思い出すのは、バリー・ギブがレコーディング中によくじっと目を閉じて、流れる音楽に浸っていた様子だ。

「バリーが目を閉じて別の星に行っちゃってるようなら、そのテイクは使える。見てるとわかるんですが、バリーはその辺の感覚を本当につかんでいるんです。バリーは何も言わないけど禅みたいで、完璧なんです」                       (Joseph Hudak)

デイヴ・コブのこのエピソードはかわいいなあと思って、最初にRolling Stone誌にこの記事が出たときから紹介したかったのですが、その後あまりにいろいろな記事がどどっと出て、内容が濃かったので先に紹介したVarietyの記事あたりと、内容がけっこうかぶってしまいました。

でも三密を避けてレコーディングされたとのこと、検査体制もばっちりのようで、バリーが安全な状況で作業できたようなのは良かったですね。それにしてもドリー・パートンはいつまでも若くてかわいらしいなあと思ったら、「これだけの安っぽい外見を維持するのに、すごいお金を使っている」とか言って、かなり整形していることを自ら公言しているそうです。そういう「天然っぽい」ところもドリーらしく、やっぱりいつまでも愛らしいのは外見だけではないのだ、と納得です。

【追伸 2021年1月31日】すみません! 何をボーッとしていたのだか! 考えてみたら『グリーンフィールズ』のレコーディングは2019年にすでに終了していましたっけ。当時は発表できませんでしたが、2020年初頭にはすでにマスタリングの作業も終了しているという連絡をマネージメントから頂いていたのでした。ですから上記の取材でデイヴ・コブが話題にしているのは、それ以降の別のレコーディングのことでした。(お詫び)

{Bee Gees Days}

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