レコード評「ワールド」1967年11月
1967年11月末、ちょうど44年前の今ごろ、イギリスでビージーズのニューシングル「ワールド」が発売されました。初の全英ナンバーワンヒットとなった「マサチューセッツ」の後を受けた野心的なシングルで、今聴いてもとても個性的な印象です。
プロモーションに使用されたのは地球儀(ワールド)を囲むビージーズの一連の写真。キャッチフレーズは「今度は世界(ワールド)だ、ビージーズ」。
ここでご紹介しているのはイギリスの音楽紙ニュー・ミュージカル・エクスプレス紙に掲載された発売週の全面広告です。
この写真、あとの4人は良い笑顔ですが、なんだかモーリスだけちょっとさびしそうな、すねたような顔に写っていますね。でも別にこの日のモーリスが機嫌が悪かったというわけではなさそうで、このシリーズの中には明るい笑顔のモーリスの写真もたくさんあります。
彼らはこの週の日曜日(1967年11月19日)にロンドンのサビルシアターでコンサートを行っており、観客がモンキーズの観客風だったこと(三兄弟が登場すると若い女性ファンのキャーキャーいう声援がすごかったこと)、初期のビートルズを思わせる器の大きさであること、などがコンサート評に掲載されています。
ビージーズ本人たちは「ワールド」こそ自分たちらしい曲と考えていたらしいことは、当時のインタビューなどからうかがえます。では批評家からはどう評価されたのか、発売時のレコード評をご紹介しましょう。
美しい感動的なレコード
ワールド(ポリドール)―今週出たレコード中でとにかくレコードプレーヤーに乗せっぱなしなのがこれ。悲しい歌詞に震撼されたあとは、悲鳴をあげるようなせつないギターの音に酔いしれる…。ただ、それゆえに、たぶん、この曲はヒットしないかも(間違っているといいんですけど)。
ほれ、私、「マサチューセッツ」は気に入らなかったのです。でもね、大ヒットしたでしょ。他のシングルはぜーんぶ気に入ってた…のに、ヒットしなかった。まあ、しかたない。こんな素晴らしい感動的なレコードを理解するだけのファン層がすでに育っていて、実際にこのレコードをお金を出して聴こうと思ってくれるとビージーズのためにはいいんですけどね。メリハリの効いたオープニング、すごいボーカル、ギターとコーラスが正面からがっぷりと組み合うエンディング…この曲は「ニューヨーク炭鉱」以来の彼らの傑作だと思います。とにかく素晴らしい。
「ワールド」は明日発売されます
イギリスの音楽紙「ディスク・アンド・ミュージック・エコー」の1967年11月18日号に掲載されたレコード評です。”とにかく絶賛”という感じなのが嬉しいですね。
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