RJ・ギブの公開メッセージ「バリーのデイリーメール紙インタビューについて」
バリーのデイリーメール紙でのインタビューにコメントする形で、RJ・ギブ(ロビンの次男)からの公開メッセージが発表されました(Facebook、2013年7月6日付)。ロビンの病気の経緯については、これまでさまざまに矛盾する発表が行われてきましたが、これは家族から出た中ではもっとも率直な内容ですので以下にご紹介します。
マスコミが事実関係を取り違えているように思います。「マスコミが」というのは、そうでなければ伯父(バリー)が父の愛情を疑うようなことがあるわけがないと思うからです。父(ロビン)が切に願っていたのは、もう一度、兄と一緒にステージに立ち、スタジオ入りしてアルバムを作ることでした。毎日その話をしなかった日はありません。とうとうスキャンを受けてがんだとわかったときも、ふつうならその事実に気をとられそうなものなのに、父が最初に口にしたのは「何かあったらもうバリーと仕事ができない」ということへの恐れでした。これまでもマスコミはぼく自身の言葉も「歪曲し」、言ってもいないことを書いたり、勝手な推測を書いたりしてきたのです。
実は母もぼくも、「誰にも知らせるな」という父の言葉にそむいて、バリーとリンダには父が2010年に切除手術を受けたことを話しました。それにマスコミは報じなかったことですが、死の8カ月前まで確かなところは誰も知らなかったのです。父が検査に行くのを拒否したからです。それまでは父の大腸に腫瘍があり、それが小腸閉塞を引き起こして、その切除手術が行われたということだけしかわかっていませんでした。手術後、父は医者に行こうともせず、スキャンも受けなければ、病院からの電話にも出ようとせず、良性か悪性かの検査を受けようともしませんでした。医師団に「自分にも家族にも何も言ってくれるな」と命じたのです。父がようやく同意して最初のスキャンを受け、ぼくたちに医師と話すことを許可した(その段階でさえ、父自身は直接医師と話そうとはしませんでした!)ときには、すでに末期に入って肝臓へ転移していました。ぼくたちが一番恐れていた事実につきあたったわけです。しかもすでに遅すぎる状況で、打てる手はあまり残されておらず、化学療法も困難に思われました。その夜、ぼくたちは親せきのみんなに2010年に切除した腫瘍が悪性で転移していたことを知らせました。2010年の手術直後に父ががんの専門医にかかって治療を受けていたなら、父はまだ生きていたかもしれません。
隠していたことなど何もありません。父が異常そのものを認めようとしなかったのですから、隠すも何も異常があるかどうかさえわからなかったのです。直腸がんの診断を受けた人や受けた人を知っている人がいたら、とにかくすぐに治療を開始してくださいと言いたいです。早ければ早いほど良いし、家族に隠したりしないでください。医者を、専門医を毛嫌いしたりしないでください。
また、父は大腸がんであると知ると、がんそのものより化学療法をこわがったのです。このためにさらに治療が遅れました。父は寝ているふりをしたり、起きようとしなかったり、車に乗ろうとしなかったり、病院の予約をすっぽかしたりして、受けていれば命が助かったかもしれない治療を受けることを拒否し続けました。しかしいったん治療が始まると、思っていたほどひどくはなかったようです。しかしそれでもなお、貴重な時間を無駄にして、大切な治療を拒み続けました。
父がソロのキャリアを望んでいたというのは間違っています。バリーとまた仕事をしたいと何よりも強く望んでいただけでなく、父がバリーに病状を知られたくないと望んだのは、バリーが、悪意ではなく、父を気遣うがゆえに、「無理をするな、体を大切にしろ」と言って、一緒にステージに立とうとしないかもしれない、仕事をしようとしないかもしれない、ということを恐れたからです。けれども2010年にも、腫瘍が悪性だと判明したときにも、すぐに親せきのみんなに連らくしたけれど、2度ともバリーの口から父が恐れていた「体を大切にして、ステージには立つな」という言葉が出ることはありませんでした。
いずれにせよ、悲しいことに父は伯父と一緒にツアーをするという夢を実現するまでに回復することはありませんでした。ビージーズのメンバーが過去にソロとしてのキャリアを追求したことはあったでしょうが、父に関していえばもうそんなことはまったく考えていませんでした。父が望んだのはただ、ぼくが20世紀最高のライティングチームであると信じるふたりが、今世紀にもまた新たな足跡を刻むことだったのです。
一読して、ロビンの遺族とバリーの間の深い溝が感じられる内容です。ロビンの闘病についてはこれまではある意味で美化された内容しか公表されてきませんでしたが、実情は非常に悲しい、悔いの残るものでした。初めて倒れたときになぜ検査をしなかったのか、がんの中でも比較的予後の良い大腸がんであっただけに残念でなりません。
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