ジョン・レノンは語る「ビー・ジーズはめっちゃ良い仕事をしている」(Far Out Magazine)

ロビンとポール・マッカートニーが一緒にレコーディングしたり、モーリスとリンゴは親交があって一緒にビデオを撮っていたり、共にNEMS関連だったこともあり、ビー・ジーズとザ・ビートルズは何かとつながりはありますが、これはジョン・レノンが常にビー・ジーズのサポーターだったというお話。英国のカルチャー・サイトFar Out Magazine(2024年5月17日付)の記事をご紹介します。

題して「ジョン・レノン、ビー・ジーズを語る。”めっちゃ良い仕事をしているよ(John Lennon on the Bee Gees: They Do a Damn Good Job)”」。筆者はミュージシャンでもあるTim Coffman。

曲を書く人間にしてみれば、良い曲なんてもうすべて書きつくされてしまった、という気にもなるだろう。ユニークな曲をどれだけ作ったところで、「そういうのは前にもあった」とか、「流行を追いかけても時間の無駄だ」とか言われてしまう。それでもなお、おなじみのコードにひねりを加えてこれまで聴いたことがないような新しいものを作り上げることはできる。ビー・ジーズも批判にさらされたグループだが、ジョン・レノンは常に彼らの作品を誠心誠意支持していた

とはいえ、そろそろもっと大勢の人がギブ兄弟を単なるありふれたダンス・グループ以上のものと見なすようになっても良いのではないだろうか。歴史は、彼らを『サタデー・ナイト・フィーバー』でディスコ・サウンドの躍進を助けたグループぐらいの位置づけで片づけてしまったわけだが、実は彼らの音楽の背景にある真のパワーはそのはるか以前、彼らがザ・ビートルズのちびっ子版だったころに始まっている。

60年代後期に出てきた他のポップ・ロック・アクトに比べて、「ジョーク」「ラヴ・サムバディ」などの曲は、初期の、特に彼らの声がコーラスでみごとにとけあっていたころの、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの仕事を強く思わせる。

ザ・ビートルズに近いサウンドを持つバンドは、必ず俗物のロック・ファンに、ザ・ビートルズの劣化版呼ばわりされる運命にある。オアシスに聞けば、機会あるごとにビートルズと比較してもらえるように頑張るのは楽しいもんだぜ、と嬉々として話してくれるはずだ。

しかるに、レノン本人はビー・ジーズに何の問題も感じておらず、最晩年のインタビューのひとつでも次のように述べている。「音楽なんてすべて焼き直しだよ。音符の数は限られている。同じテーマのバリエーションしかない。70年代に、ビー・ジーズの音楽はビートルズの焼き直しにすぎないとわめいていたガキどもに、そういってやれよ。ビー・ジーズはひとつも悪くない。めっちゃ良い仕事をしているよ

同時に、レノンは彼自身の作品の独創性も批判されていることを十分に承知していたことだろう。ザ・ビートルズは、チャック・ベリーやリトル・リチャードのような騒々しいロックンロールを演奏しているとマスコミの非難を浴び続けてきた。ベリーの「Sweet Little Sixteen」と「Come Together」が似ていると批判されたレノンだからこそ、自分をパクったといわれるアーティストについて話すときも冷静だったのに違いない。

ビートルズとの関連はあったものの、ビージーズが作った曲の中には、ビートルズの最高傑作に匹敵する、あるいはそれを凌ぐものも少なくない。「愛はきらめきの中に」など、チャートを騒がせた曲の中でもダントツに洗練されたコード進行を使っており、ほとんどジャズと言えそうな曲を、ぐっとスローにして、ロマンチックなバラードに仕上げたようだ。

レノンもまた、ビー・ジーズに注目していたようだ。アルバム『ダブル・ファンタジー』は生きることの家庭的な面をベースにした作品ではあるが、アルバム中でヨーコ・オノが歌う「Kiss Kiss Kiss」は、ビージーズが尽力して切り開いたディスコ的な技法が基本になっている。ギブ兄弟にすれば、史上最高のサウンドトラックに数えられる作品で中心的な役割を果たしたのだから、別に励ましてもらう必要もなかったろうが、ビートルズのひとりに賞賛されたとなればうれしかったにはちがいない。

ここで引用されているのはレノンが1980年ごろに行ったPlayboy誌のインタビューのようです。そのほかにもレノンは「(ビー・ジーズは)俺たちより良い」と発言したり、ロビンの「救いの鐘」をハミングしているビデオもありますし、常にビー・ジーズを高く買っていたようです。テレビか何かでレノンの部屋が映ったらそこにロビンのソロアルバム『Robin’s Reign(邦題:救いの鐘)』が置いてあった、と喜んでいるロビンのインタビューもあります。

この記事、ちょっとびっくりしたことに副題みたいなところに「(ビー・ジーズは)過大評価なんかじゃない」とありました。ただし読んでみると、これは筆者の意見が「ビー・ジーズは過大評価されている」ということではなく、「売れ行きにクオリティがつりあっていない(=売れただけでたいした音楽じゃない=あんなに売れたのは過大評価のたまものだ)」というよくある意見に反対するために書かれたようです。筆者のCoffmanは他の記事でも「ビー・ジーズは過小評価されすぎている」としっかり書いています。

だけど『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』のレビューなどを見ると、「彼らがいかにすぐれていたのか、初めて知った」という意見などが多くて、「遅い!」と言いたくもなりますが、「Better late than never」ですよね。そろそろ映画が来そうだから、次の波が来そうだから、こうして正しく評価しようとする動きが目立ってきたのかもしれませんが、うれしいことではあります😍

{Bee Gees Days}

 

 

 

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