「ホリデイ」と「ジョーク」も登場! タイガース再結成公演レポート
40年の歳月を超えてオリジナルメンバーで再結成されたタイガースのリユニオンツアー。1960年代の日本におけるビージーズの受容を語るには、いわゆる「グループサウンズ(GS)」ムーブメントとの関わり、特に同じレコード会社に所属していたタイガースとのコネクションは欠かせません。両グループのファンという方も意外に多いようです。
タイガースの再結成コンサートに行った方がビージーズ・ファンとしての視点からのレポートを寄せてくださいました。
多くのGSに、ビー・ジーズは愛されてカバーされています。
タイガースのインタービューを読むと、「当時は、僕等がストーンズの"タイム・イズ・オン・マイ・サイド"をカバーすると、もう他のバンドはその曲をやれないわけ。だから、いつもいい曲はないかとアンテナを張っていたし、出来るだけその曲を早く自分達のものにするかを競っていたんだ。」というような事が語られています。
タイガースは、バンドとしてはストーンズを指向していたと思われますが、何よりも加橋かつみさんと岸部シローさんのあの素晴らしい声。そして低域から高域までカバー出来るコーラスの素晴らしさ。また、森本さんが、「ビー・ジーズはストリングスが美しい。」のでキーボードを導入した、というように様々な音楽を貪欲に吸収していった為に、GSのトップに君臨し続けたのではないでしょうか?
事実、あの頃 ストーンズの「アンダー・マイ・サム」や「テル・ミー」を聴く前に、タイガースの「アンダー・マイ・サム」や「テル・ミー」の方をを原体験で聴いた方は多いのではないでしょうか? 同じ様に、「ホリディ」や「ジョーク」も、タイガースのヴァージョンで知って、ビー・ジーズの良さにひかれた方も多いと思います。
さて、そのタイガースが40年ぶりに復活という事で、チケットは、まじ大争奪戦でした。2年前の瞳みのるさんが復活して沢田研二さんのツァーに参加された時は、会場前まで行ってダフ屋さんに聞いても全く手に入らず帰ってきた事を覚えています。今回も地下鉄の駅構内で「チケット譲ってください。」という人や、会場前のダフ屋さんの「余ってたら買うよ~。」という声がやたら響いていました。
そのコンサート、第一部はなんと全曲が洋楽のカバーオンリー。ロック・バンドのようなタイガースを見せてくれましたが、「ジョーク」ではどうしてもロビンを思い出して泣いてしまいました。また、「ホリディ」には、ひときわ大きな拍手が贈られていました。
ビー・ジーズとタイガースは同じレコード会社だったからか、音楽雑誌「ヤング・ミュージック」の企画で国際電話で対談しています。タイガースのレコード売り上げ枚数を聞いたバリーが驚いたり、各人がエールを交換したりしていますが、「今度、日本へ行ったら是非競演しよう。」という話は、もし実現していたら日英二大グループ、物凄い事になっていたでしょうね。
ビー・ジーズのファンの中にも、タイガースのファンの方がたくさんいらっしゃいます。同じ様に、タイガースのコンサート会場(最終公演はなんと東京ドーム!!)を埋め尽くした多くのファンの方の中にも、多くのたくさんのたくさんのビー・ジーズの音楽を愛してくださる方がいらっしゃると思うと・・うれしいやら複雑やら・・・。
―サニー・ジム
サニー・ジムさん、素敵なレポートをありがとうございました。
こうした縁もあって1972年のビージーズの初来日公演では岸部シローとブレッド&バターが前座をつとめ、シローさんが映画『タイガース ハーイ ロンドン』(バリーもちょっと登場)撮影時にロンドンでバリーに会ったときのエピソードなどをとても面白く話して、観客を爆笑させていました。なんでもバリーの周辺が日本の常識を超えたスケールの大きさで圧倒されたそうです。シングル「スマイル・フォー・ミー」のジャケットにも見られるようにバリーはゴーカートで遊んでいたのだけれど、「おもちゃの車で遊んでいるのかと思ったら、信じられないほど広大な中をびゅんびゅん走り回るので、びっくりして『君たちもどうぞ』とか親切にいってもらったけれど、『け、け、けっこうです(ははあっ)』状態になってしまった、という話だったような。
1973年来日時のビージーズの記者会見でもタイガースが話題に上ったのを覚えています。「日本の音楽シーンについて」という質問だったと思いますが、ロビンが「タイガースはどうしたの?」といならぶ記者に逆質問。するとバリーがロビンに教えるようにちょっと小声で「タイガースは解散したんだよ」と発言。ロビンがちゃんとタイガースを知っていた(覚えていた)というのも面白かったですが、バリーの方がもっと実情に通じていた、というのがもっと面白かったです。
私自身はタイガースや邦楽カバーを通らずにビージーズを聞き始めてしまったひとりですので、タイガースとともに歩まれた世代の方たちとはまた違う感慨があります。何よりも「再結成ツアー」という響きがまぶしいなあ…。
もう再結成ツアーを望めなくなってしまったビージーズですが、バリーのミソロジー・ツアーが日本に来てくれるといいですね。東京ドームもいいけれど、どこか音響の良い落ち着ける会場で「キルバーン・タワーズ」を聴けたらなあ。
(Thanks: サニー・ジムさん)
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