サマンサ・ギブ・インタビュー-父モーリス・ギブの思い出とトリビュート・アルバムについて

第二世代(の一部)を抱いたビー・ジーズ(1978年)

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シドニー(オーストラリア)の情報サイトSydney Chicに掲載されたトリビュート・アルバム『Please Don’t Turn Out the Lights』のレビューとサマンサ・ギブとのインタビュー(オンライン版2017年3 月17日付

以下に内容を簡単にまとめてご紹介します。

40 年来のビー・ジーズ・ファンとしては、彼らの子どもたちによるニュー・アルバム『Please Don’t Turn Out the Lights』をレビューできるとは嬉しいことだ。4月14日発売のこのアルバムは、ビー・ジーズ(バリー、ロビン、モーリス)とその弟のアンディの子どもたち世代によるトリビュート・アルバムである。タイトル・トラックでは4人兄弟それぞれの長子が父親たちを思わせるハーモニーを聞かせている。

サマンサとプロデューサーのラザロ・ロドリゲスが「ニュー・ヨーク炭鉱の悲劇」をレコーディングしたところから始まったこのプロジェクト。家族のそれぞれが、好きなビー・ジーズの曲を選んで録音し、全10曲のアルバムができあがった。

個人的には大好きなアルバムである。第二世代の全員が名高い父親たちの音楽の才能を受け継いでいるようだ。ついては、サマンサ・ギブにアルバムについてインタビューする機会に恵まれた。

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超有名人のお父さんを持って、どんな子ども時代でしたか?

子どものときには、特にそんなことは思っていませんでした。父は毎日スタジオに仕事に出かけていって、帰宅すると、そのときしている仕事の新しいミックスを見せてくれたりしました。ただ、素敵な仕事だな、と思っていたぐらいです。父と一緒に外に出るようになって、初めて、もっとわかってきました。特に、ツアーに一緒に出て、父に会った人たちの反応を見たときです。それで、ああ、父って有名なんだ、と気がつきました。家では父はわたしたちのお父さんであり、夫でした。父はアルコール依存症で苦しんでもいたので、もっとふつうの生活を送れるようにいろいろ苦労したのだと思いますが、そのことを父に感謝しています。うちでは土曜日にはバーベキューをし、日曜には母がイギリス式のサンデー・ディナーを作りました。家族そろって過ごして、ふつうの家族がするようなことをしました。父は友だちとペイントボールをし、集まりに出かけ、お兄さんたちと音楽を作り上げる仕事を楽しんでいました。父は人生では何が大切かを知っている人でした。好きなことに一生懸命に取り組んで、家族と過ごすことです。

大半の子どもたちが歌ったり、曲作りをしたりする才能を受け継いでいると思いますか?

誰もが親からいろいろと受け継いでいると思います。歌ったり、曲を作ったりする能力はもちろんですが、どんなふうに育てられたかも、成長してどんな人間になったかということに、大きくかかわっていると思います。人生で何をするにせよ、特に秀でたいのなら、一生懸命に努力することと、やる気を持っていることが大切です。

このアルバムを作ろうという発想はどこから?

昨年はじめに、音楽上のパートナーであるラザロ・ロドリゲスとわたしは「ニューヨーク炭鉱の悲劇」のカバーをやってみることにしました。できばえが気に入ったので、ずっと以前から温めていた、父や伯父たちへのトリビュートを実行してみたいという気持ちになったのです。さてどうしたらいいのか、よくわからないながらも、ファミリーの全員にまず連絡をとって、このプロジェクトに一役買ってくれないかとひとりひとりに聞いてみました。すると全員がぜひやりたいといってくれたんです。1年経って、10曲以上が集まり、Gibb Collectiveとしてのトリビュート・アルバム『Please Don’t Turn Out the Lights』ができあがりました。

大変だった点は?

アルバムにするだけのものを集めるのが一番大変でした。みんな住んでいる国や州が違うし、それぞれ家族や子どもがいるので、締め切りを守るのも大変でした。ありがたいことに、みんな全力をつくして、それぞれの曲がふさわしい仕上がりになりました。結果として苦労した甲斐があったと思います。もともと、とにかくやりたくてやったことなのですが。

特に良かったことは?

何よりもファミリーの人たちと連絡がとれたことです。たとえば、いとこのピータは、オーストラリアに住んでいるアンディのお嬢さんで、1年前までは話したこともなかったのですが、今はずっと昔から知っているような気がしていて、これからもずっと友だちだろうと思います。みんなと近況を伝えあったり、同じプロジェクトに参加したりできたことが、本当に素晴らしい経験でした。お互いを知りつつ、父たちのために何かができて、父たちのレガシーをファンのみなさんや新しい世代の音楽ファンに届けることができるというのは、信じられないようなことでした。

これからも一緒にアルバム作りをしようという計画はありますか?

これからもギブ・コレクティヴとしていろいろと活動していきたいと思っています。きっとみんなもまた一緒にやりたいと思ってくれていると思いますし、巨大な素晴らしいカタログのために、わたしたちに何ができるのか、いろいろと考えていきたいです。

(Deb Carr, from Sydney Chic)

サマンサの話からは、スターではなく、単に音楽という自分が大好きなことを仕事にしていた、ふつうの家庭人としてのモーリス像が伝わってきます。

タイトルトラックは、これまで出ていた情報ではスペンサー(子どもたち世代の最年長)が歌っているのかと思いましたが、どうやら4兄弟の子どもたち中の長子が一緒に歌っているらしい…ということは、バリー家のスティーヴン、ロビン家のスペンサー、モーリス家のアダム、そしてアンディ家のピータということでしょうか。

サマンサの話はファミリーという側面が中心になっていますが、ギブ一家の子どもたちというだけで成功できるほど音楽の世界は甘くはないし、それだけで自動的に彼らを高評価するのも逆に彼らに対しても失礼な話です。ネクスト・ジェネレーションの中で一番長く音楽活動を続けてきたスティーヴン、スペンサー、サマンサはさまざまな苦労をして、そのことを実感してきたと思われます。それが上記の、結局は「努力とやる気」だというミュージシャンとしての矜持を感じさせる発言につながっているのでしょう。

トップの写真は1978年の雑誌Bravoに掲載された「第二世代と一緒のビー・ジーズ」ですが、この段階では、まだサマンサちゃん(ついそう書いてしまう)たちなど一部の第二世代は生まれておらんかったのでした。

{Bee Gees Days}

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