ロビン・ギブの新旧「アイ・アム・ザ・ワールド」について等

ロビン・ギブ(2005年9月3日、東京)

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既報の通り、「アイ・アム・ザ・ワールド(ニュー・バージョン)」は日本で10月22日に発売されるフィフティ・セント・キャサリンズ・ドライヴからイギリスその他の国で最初のシングルに選ばれました。ドイツではアルバムのプリセールが特に好調ですが、ここだけは「ソリー」がシングルに選ばれています。ドイツでの第二弾は、現在前売り予約をするとにダウンロードできる「アラン・フリーマン・デイズ」(名曲ですよねえ)だそうです。

その他の国での第二弾は「デイズ・オブ・ワイン&ローゼズ」が予定されており、現在この曲は以前にご紹介したワーナー・ミュージック・ジャパンのサイトの他にYouTubeでも聴くことができます。(出だしが「アライブ」の一部の引用になっていることには気づかれましたか?)

そこでドゥイーナ・ギブ夫人に「アイ・アム・ザ・ワールド」新旧バージョンについてなど、いろいろとうかがってみました。

どうしてこの曲が特別だと思うのか、ドゥイーナ夫人は自宅のプリベンダル邸から電話で話してくれました。

何しろロビンが最初に単独で書いた曲です。シングル「スピックス・アンド・スペックス」のB面でした。でも当時のロビンはまだあどけないと言っていいようなかわいい声。それを今度はもっと大人の成熟した声で歌ったわけです。だからとても特別な曲なんです。ロビンが初めて単独で書いてレコーディングした曲が今度は(「シドニー」を別にすれば)アルバム最後の曲になるわけですから。

最後の曲といえば、RJと計画していた第一次世界大戦についての音楽プロジェクトのために書いた曲もあったと思いますが?

ああ、『八月の花(Flowers of August)』のことね。第一次世界大戦についてのアルバムを作るつもりで確かに何曲かテープに収めてはあるんですが、どれも完成形ではないんです。どれも「シドニー」ほど…まとまってはいないんです。

話しながらドゥイーナ夫人が「アイ・アム・ザ・ワールド(ニュー・バージョン)」をパソコンで流してくれたので、遠く海と陸地を隔てて電話線のこちら側で聞いていました。すると思いがけない、ちょっとせつない事態が生じました。ロビン邸に1匹だけ残った愛犬ミッシーロビンが歌う声を聞いて吠えながら走ってきたので、夫人が再生を中止せざるを得なくなったのです。夫人が状況を説明してくれたので、「昔みたいだったからですね」と私は胸を詰まらせながら言いました。もう1匹、ロビンがとてもかわいがっていたオリーはミッシーよりも若かったのに今年すでに亡くなりました。犬たちはやさしかったご主人を心から惜しんでいるのでしょう。

では明るい話題は…というと、ドゥイーナ夫人の最初の戯曲『Last Confessions of A Scallywag』はとても好評で、劇場(オックスフォードシャーにあるディナー劇場Mill at Sonning)は昼夜に追加公演を行っているとのこと。すでに9,000人が見た勘定になり、来年は香港在住のイギリス人のためにオリジナルキャストで香港公演をする話も持ち上がっているとのことです。好評の理由は「アイルランド独特のユーモア」だとか。

この戯曲は何年も前、ロビンが元気だったころに書かれました。当時、ドゥイーナ夫人は「舞台化されればロビンが音楽をつける」計画があるとも発言しています。けれども上演準備が整ったのはロビンが亡くなったあとでした。現在、再開準備中のロビンのオフィシャルサイトのフォーラムにかつて、ドゥイーナ夫人の活動を論じる「トゥルー・コンフェッション」というコーナーがあったのを覚えていらっしゃる方もいるでしょう。あのコーナー名は一部この劇にちなんでいましたから、実際にはもうかなり前の作品ということになります。

夫人は独立運動などで戦場と化していたアイルランドの出身。きびしい現実に打ちひしがれないようにと子どものころから愉快な物語を書いていたそうです。そうすると元気になれるのだとか。現在も「現実をシャットアウトするため」に喜劇や愉快な会話劇などの執筆に余念がないそうです。また、2011年後半、集中的に化学療法を受けていたロビンも、家に帰るといつも現実から逃れるために愉快なホームムービーを作っていたそうです。「傑作ムービーなんですよ」と夫人は話してくれました。

世界各地で『タイタニック・レクイエム』の再演予定はありますか?

ぜひやりたいとは思っているのですが、現在の世界的な経済状態では難しいですね。でもやりたいとは思っています。それにRJはマジックに凝っていてほんとにうまいの。ダイナモみたいなんです。RJは日本のマジシャン「セロ」のファンでもあるんですよ。 

それから夫人自身は「草間彌生の作品のファン」で、日本で旅行中に食べた「インスタント味噌汁がとってもおいしかった」ことが忘れられないそうです。

「フィフティ・セント・キャサリンズ・ドライヴ」のプロモーションについては、ちょうどRJと一緒にドイツの雑誌の取材を受けたと話してくれました。きっとこれ(Bild)eだと思います。(ドイツ語が読めなくても写真をチェックしてみてください)  リリースが近づいたらもっとインタビューが予定されているほか、ロビンのオフィシャルサイトも近く再開予定です。

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