【1975年英紙】アルバムレビュー『メイン・コース』

アルバム発売当時の米ティーン雑誌『16 Magazine』に登場したプレゼント企画より

『メイン・コース』特集

を続けます。5月末に発売されたこのアルバム、日本では8月1日発売でした。8月はじめには第一弾シングル「ジャイヴ・トーキン」が全米チャート1位に輝き、春夏にかけて大規模な全米ツアーもありましたから、1975年秋ごろにはメディアにもどどっと情報が登場しました。中にはいま振り返ると驚愕するほど失礼なレビューもありますが、それはまたいずれ。

以下にご紹介するのはイギリスの音楽紙に掲載された(と思う)レビューです。例によって当時は切り抜くときに裏に典拠を書く習慣がなく(たぶん当時の日記には書いていたと思うのですが、それにしても何を考えていたのか、我ながらわからん…)、したがって掲載紙が不明です。(あるいは後になってどなたかにいただいたのかもしれません)たぶんメロディ・メイカー紙じゃなかろうかと。正確なところがわかる方がいらっしゃれば教えてください。

このレコードはガーンとショックだった。すごく意外、だってビー・ジーズだよ。「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「マサチューセッツ」とかは好きだったが、その後、ギブ兄弟といえばめそめそとヴィブラートで泣くばかり。しまいには「ビー・ジーズ解散」とか「ビー・ジーズ再結成」という記事の見出しを見ても何の感慨もわかなくなってしまった。そこに突然、この『メイン・コース』である。絶賛の嵐である。典型的なビー・ジーズといえる曲は実に1曲だけ。「カントリー・レーンズ」だ。あとはどれも彼らとは思えない曲ばかり。どこかで本物のソウルとアグレッシブさを見つけてきたのだ。彼らを雄々しく助けているのが新生バンドの面々。キーボードにブルー・ウィーヴァ―、リード&スティールギターにアラン・ケンドールを配して、実にソリッドでパンチの効いた基盤を提供している。すでに知らない人のない「ジャイヴ・トーキン」は、もちろん、これまでのところ今年最高のシングルのひとつだが、アルバム全体を聴いてみると、ほかにもいい曲がたくさんある。これまでのビー・ジーズには大仰になりすぎる傾向があったが、このアルバムでは決しては大げさにならず、抑制の効いた高揚感が募ってゆく。完璧なプロダクション、洗練性、さらには高いエネルギー・レベルに加えて、非常に微妙でニュアンスに富み、最強だ。B面トップの素晴らしい「メイキング・ラヴ」は、驚くべきパフォーマンス、想像力豊かなアレンジと抒情性で、曲全体を通して驚かされ通しで、最後までいってもこれは笑う曲なのか、悲しい曲なのかわからない。たいしたことない曲も2曲。明らかに並み以下の出来の「カントリー・レーンズ」と「ソングバード」だ。「カム・オン・オーヴァー」もアラン・ケンドールのぞくぞくするようなスティール・ギターのソロ以外は記憶に残らないありきたりな曲。あとの曲はどれも見事だ。どうやらビー・ジーズは完全に発想を変え、欠点を見直したようだ。その過程で音楽への新鮮な情熱を取り戻したらしい。考え抜かれ、丁寧に作られたこのレコードは、いろいろな意味で成功している。中でも大きいのが、今回は彼らも本気でやっていると感じさせる点だ。信頼性を取り戻したビー・ジーズにおめでとうと言いたい。(C.I.)

現時点で振り返ってみると、このレビューは一番まともなもののひとつでした。書いた方はもともとファンなのでしょう、とっても褒めているという点を別にしても同感するところが多かったです。

衝撃的な(笑)タイトルの「メイキング・ラヴ」については、変わったアレンジから、最後まで「笑っていいのか、泣いていいのか迷う曲」だという点まで、まったく同感です。これは兄弟三人がものすごく楽しんで作ったのではないかという気がして、アルバム全体でももっとも好きな曲のひとつです。この曲を聴くと、ドッカンドッカンという足踏みみたいなところといい、「兄弟三人がわいわいと楽しんでいる、それがビー・ジーズだ」という彼らの発言を思い出します。

あくまで個人的には「カントリー・レーンズ」と「カム・オン・オーヴァー」がずっと苦手でした。どちらも彼らにすれば朝飯前なのではないかという印象で、冒険もひらめきを感じなかったのです。それなのに、今回『メイン・コース』特集をやろうかなあと思ってアルバム全体を改めて聴きなおしてみたら、どちらの曲にも思わず感激してしまいました。どちらも美しく作り込まれているし、当時ピークに達しようとしていたボーカルのパワーもすごいです。しかしどちらも歌詞がいわゆる「決まり文句」なのが惜しまれます。個人的には、同じカントリータイプなら、『2 Years On』の「The First Mistake I Made」(これは名曲ですよね!)や『Life In A Tin Can』の「South Dakota Morning」(泣きたいほど美しい)の方にやはりどうしても惹かれると言わざるを得ません。

もうひとつ、この筆者はもともとビー・ジーズが好きだったと書いていますから、よくある上から目線のえらそうなレビューでない点が好感度大。ビー・ジーズの欠点が時として大仰に走るところにあった、というのはしごくまっとうな批判であるし、このアルバムで「バンドとしての信頼性を回復した(信頼できるバンドとして再出発した)」という論点も、彼ら自身がそれまでの数作が「十分な時間をかけずに作られていた」と認めている(ローリング・ストーン誌記事)ことと合致して、納得のいく意見です。(もっとも個人的にはアルバム『Mr. Natural』が非常に好きですが、これについてはまた別の機会に)

トップに使用した写真は『メイン・コース』発売直後のアメリカのティーン雑誌の記事より。プレゼント企画でニューヨーク在住のファンに3人がサインしたアルバム3枚が(友だちふたりと分けてね、ということでひとりの方に3枚!)贈られた、という内容でした。

『メイン・コース』特集、次回は日本のマスコミではどんな風にレビューされていたのかご紹介しようかと思います。

{Bee Gees Days}

 

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