【1975年英紙】アルバムレビュー『メイン・コース』
『メイン・コース』特集
を続けます。5月末に発売されたこのアルバム、日本では8月1日発売でした。8月はじめには第一弾シングル「ジャイヴ・トーキン」が全米チャート1位に輝き、春夏にかけて大規模な全米ツアーもありましたから、1975年秋ごろにはメディアにもどどっと情報が登場しました。中にはいま振り返ると驚愕するほど失礼なレビューもありますが、それはまたいずれ。
以下にご紹介するのはイギリスの音楽紙に掲載された(と思う)レビューです。例によって当時は切り抜くときに裏に典拠を書く習慣がなく(たぶん当時の日記には書いていたと思うのですが、それにしても何を考えていたのか、我ながらわからん…)、したがって掲載紙が不明です。(あるいは後になってどなたかにいただいたのかもしれません)たぶんメロディ・メイカー紙じゃなかろうかと。正確なところがわかる方がいらっしゃれば教えてください。
現時点で振り返ってみると、このレビューは一番まともなもののひとつでした。書いた方はもともとファンなのでしょう、とっても褒めているという点を別にしても同感するところが多かったです。
衝撃的な(笑)タイトルの「メイキング・ラヴ」については、変わったアレンジから、最後まで「笑っていいのか、泣いていいのか迷う曲」だという点まで、まったく同感です。これは兄弟三人がものすごく楽しんで作ったのではないかという気がして、アルバム全体でももっとも好きな曲のひとつです。この曲を聴くと、ドッカンドッカンという足踏みみたいなところといい、「兄弟三人がわいわいと楽しんでいる、それがビー・ジーズだ」という彼らの発言を思い出します。
あくまで個人的には「カントリー・レーンズ」と「カム・オン・オーヴァー」がずっと苦手でした。どちらも彼らにすれば朝飯前なのではないかという印象で、冒険もひらめきを感じなかったのです。それなのに、今回『メイン・コース』特集をやろうかなあと思ってアルバム全体を改めて聴きなおしてみたら、どちらの曲にも思わず感激してしまいました。どちらも美しく作り込まれているし、当時ピークに達しようとしていたボーカルのパワーもすごいです。しかしどちらも歌詞がいわゆる「決まり文句」なのが惜しまれます。個人的には、同じカントリータイプなら、『2 Years On』の「The First Mistake I Made」(これは名曲ですよね!)や『Life In A Tin Can』の「South Dakota Morning」(泣きたいほど美しい)の方にやはりどうしても惹かれると言わざるを得ません。
もうひとつ、この筆者はもともとビー・ジーズが好きだったと書いていますから、よくある上から目線のえらそうなレビューでない点が好感度大。ビー・ジーズの欠点が時として大仰に走るところにあった、というのはしごくまっとうな批判であるし、このアルバムで「バンドとしての信頼性を回復した(信頼できるバンドとして再出発した)」という論点も、彼ら自身がそれまでの数作が「十分な時間をかけずに作られていた」と認めている(ローリング・ストーン誌記事)ことと合致して、納得のいく意見です。(もっとも個人的にはアルバム『Mr. Natural』が非常に好きですが、これについてはまた別の機会に)
トップに使用した写真は『メイン・コース』発売直後のアメリカのティーン雑誌の記事より。プレゼント企画でニューヨーク在住のファンに3人がサインしたアルバム3枚が(友だちふたりと分けてね、ということでひとりの方に3枚!)贈られた、という内容でした。
『メイン・コース』特集、次回は日本のマスコミではどんな風にレビューされていたのかご紹介しようかと思います。
{Bee Gees Days}
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