『ビー・ジーズ・ファースト』の発表から50年
この7月でアルバム『Bee Gees First』が発表されて50年になります。uDiscovermusic.com(2017年7月25日付)が「『ビー・ジーズ・ファースト』を再発見しよう」という記事に取り上げました。
以下に内容を簡単にまとめてご紹介します。
2017年6月にはバリー・ギブがグラストンベリー・フェスティヴァルに出演、大好評を受けて、ビー・ジーズのアルバム『Timeless-All Time Greatest Hits』が英国のアルバムチャートでトップ10入りを果たした。バリーの出演は、ビー・ジーズの国際デビュー・アルバムとなった『ビー・ジーズ・ファースト』発売50周年の直前にあたってもいた。そんなわけで、今日はこのアルバムを再発見してみたい。
むろん、ギブ兄弟は移住先のオーストラリアですでにレコード・デビューを果たし、アルバムも2枚出していたわけだが、1月(訳注:実際には2月)に帰英後、ロバート・スティグウッドをマネージャーに得て、この1967 年という年はバリー、モーリス、ロビンにとって大きな意味のある年となった。3月にはすでに、BBCのお隣さんともいえるロンドンのIBCスタジオで新曲14曲のレコーディングが開始されている。どの曲もバリーとロビンが書いたもので、当時の雰囲気があふれる、一部サイケデリックなポップスである。
イギリスでは7月14日に発売された(訳注: 当初の予定が14日だったが実際には22日発売)この国際デビュー・アルバムには、3月にシングル発売された「ニューヨーク炭鉱の悲劇」も入っていた。キャッチ―なメロディとシンプルでむきだしのボーカルという組み合わせは、ちょっととっつきにくかったのか、初登場は43位とささやかだったが、最終的にはトップ20圏内に5週間とどまり、最高位は5月末の12位。
見過ごされがちなのは、これも『ファースト』アルバムからの第二弾シングルとなり、いまやビー・ジーズの名曲として確固たる地位を築いている「ラヴ・サムバディ」はイギリスではたいしてヒットしなかったという事実だ。「ラヴ・サムバディ」はアルバムと同時にリリースされたが、当時のトップ50の下の方で1ヶ月ばかりうろうろと苦労したあげく、最高位41位に終わっている。この曲がイギリスでヒットチャートのトップ5入りを果たすには、ニーナ・シモンの名カバー(1969年)を待たなくてはならなかった。
それでも『ファースト』の登場とともに、メディアはビー・ジーズを、特に『サージェント・ペッパー』時代にふさわしいその現代的なポップ・センスゆえに、第二のビートルズと呼ぶようになった。たしかに、『ファースト』には、ヒッピー・ムーヴメントが隆盛したサマー・オブ・ラヴらしい「想い出の赤い椅子」や宗教色のある「ライオン・ハーテッド・マン」などの曲も入っているが、同時に、「ワン・ミニット・ウーマン」「誰も見えない」など、もっと従来のポップス色の濃い、オーケストラを多用したナンバーもごく自然に入っている。
アルバム中の14曲すべてに共通していたのは、以降数十年、ギブ兄弟のトレードマークとなる、入念な曲作りである。9月には、ヒットの流れももどり、アンセム風の「マサチューセッツ」がチャートをのぼりはじめた。この曲はやがてナンバーワンの座に4週間もとどまることになる。この曲は『ファースト』には入っていないが、とにかくこれでビー・ジーズの地位は確立されたといっていい。
「マサチューセッツ」の勢いが衰えはじめると、ビー・ジーズの次のトップ10ヒットとなる「ワールド」がチャートをのぼりはじめた。こうしたヒットのおかげで、『ファースト』アルバムも注目を浴びた。8月に34位でチャート入りしたあと、トップ40圏内に26週間とどまり続けた『ファースト』が最高位に達したのは11月、最高位8位である。こうしてシングル、アルバム両チャートでの常連としてのビー・ジーズの活躍が始まった。
– by Paul Sexton
筆者のセクストンはビルボードなどに寄稿している音楽ジャーナリストだということですが、活動歴を見ると90年代ぐらいからジャーナリストとして仕事をしているようなので、どうやらいま4~50代、つまりこの時代をリアルタイムで知っているのではなく、チャート情報などの資料から当時の動きを再現しているような印象です。
それはさておき、記事中で、「ラヴ・サムバディ」がシングル・ヒットしなかった、という事実が論じられていますが、実は、当時、「バリーがリードを歌うと流行らない」というジンクス(?)がありました。それでいて、チャートを制覇したりはしなかった当時のシングルが、しっかり「名曲」として確立され、大勢に愛され、多くのアーティストにカバーされている…そのあたりからも、このビー・ジーズという、「ヒットメーカー」として語られることの多いグループが、実は、そう、単なるヒットメーカーなんかではぜんぜんなかった、ということがわかろうというものです。(よね?)
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