【1972年3月】45年前の今日-ビー・ジーズ初来日/東京公演

東京公演でのビー・ジーズ(1972年3月)
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45年前の今日、1972年3月23日、ビー・ジーズは初来日の初日公演のステージに立ちました。東京の渋谷公会堂です。

偶然ながら、45年前も3月23日は木曜日でした。

右は月刊誌ステレオの1972年5月号に掲載されたカラー3ページの記事の1ページ目です。あとの2ページは記者会見の写真と3人並んでセンターマイクで歌う渋谷公会堂での写真でした。

ビー・ジーズの帰国後、各紙・誌の5月号あたりにどどどっと来日レポートが載りはじめたわけですが、ある程度のリストはこちらの記事に記載しました。そのほとんどが22日の記者会見あるいは、この23-4日の東京公演で取材されたものです。

ステレオ誌の記事は――

ハードロック、プログレッシブロック旋風が吹き荒れても一切カンケイナシ。抜群のさわやかなコーラスで永遠の愛をハモリつづけ、世界中の若者を魅了してきたビー・ジーズが待望の初来日、3月23日の東京公演を皮きりに、東京と大阪で計4回のコンサートを行なった。

バリー(長兄)、モーリス、ロビン(ふたごの兄弟)の3兄弟によって結成され、1967年正式デビュー。といっても幼い時からショービジネスの世界で活躍してただけあって、ステージはまさに楽しさいっぱい。「ニューヨーク炭坑の悲劇」(注:原文のまま)でオープンし「傷心の日々」「マイ・ワールド」「メロディ・フェア」「マサチューセッツ」と一連のヒット曲に満員の聴衆は大歓声、「バリー、モーリス、ロビン!」と黄色い声が場内をとびかうほどだった。

メロディメーカーの彼らであるが、実は楽譜のよみかきができないとか。次のアルバムには日本ふうの曲もいれたいというので、乞ご期待。

当時の記事は、どれもこんな感じです。これはかなり好意的ですが、全体に論評が上から目線で、ビー・ジーズの音楽をきちんと聞いたとは思えないようなコメントばかりでした。ビー・ジーズが非常に若かったこと、アイドル風の容姿で観客の反応もそれを裏切らないものであったこと、などがその背景にあるのでしょう。

2015年に発表されたロビンの『救いの鐘』ボックスセットのライナーでボブ・スタンレーが書いているように、ビー・ジーズがいかに若かったかは忘れられがちです。そしてローリング・ストーン誌がロビンの『救いの鐘』ボックス・セットのレビューで書いたように(こちらで紹介しています)彼らはポップスが「めちゃめちゃに実験的だった」時代の先兵でもありました。

なかなかすごかったのは会場で販売されていた来日公演のパンフレットです。当時は日本語なので本家のチェックも入らず、書きたい放題だったのでしょう。1973年の来日時のプログラムもすごいもので、「まあ、ビー・ジーズもね~、これから大きく売れることはないだろうけど、そこそこやってけるんじゃなーい」みたいな上から目線の誌上座談会が繰り広げられていたり、買ってびっくりでございました。友だちは憤慨していましたが、何しろ言語障壁による治外法権状態でした。ビー・ジーズのメンバーもまさか会場でそんな失礼なものが販売されていたなんて知らなかったでしょうね。

話もどって、1972年3月23日には前方の通路に近い席だったので、座っている足元のあたりには腕章をつけた各紙のカメラマンの方がずらっと撮影に備えて待機していて、「ああ、いいなあ、撮った写真欲しいなあ」と思って見ていました。「XXの人、来てた?」「あ、さっき、あっちにいたよ」というようなカメラマン同士の会話も聞こえて、心の中で、「よし、XXの新しい号が出たら本屋さんでチェックしよう」などとも思ったりしていました。(この週刊誌はあとで無事に買えたので、上のリンクの記事でご紹介しています。なぜかコンサートの写真は掲載されておらず、来日記事は記者会見のものでした)もっともそんな雑念も「ニュー・ヨーク炭鉱の悲劇」のイントロが始まって、幕があがり、びっくりするほど近くに後ろ向きのビー・ジーズのシルエットが浮かび上がったとたんに、ふっとんでしまいました。今でもあのイントロを聞くと、心が震えます。 ライトがあたるとターンして歌い始めるのですが、その辺の演出も、まあ、アイドル風だったといえるでしょうか。

前にも書きましたが、当時、それがしは地方都市でお子ちゃまをしており、夜の東京のコンサートにひとりで行くなんていうのは生れて初めての決死の(<そんな感じ)大冒険でした。東京公演は23-4日と連チャンでしたが、初日の23日に行っただけでほとんどショック状態になってしまい、24日はどうやって会場まで行ったのかほとんど記憶がありません。

そういえば、ロビンと話していると、「35年前に東京で…」とかさらっというのにちょっとびっくりしたことがあります。ロビンは時間の感覚がちょっと独特で、急にすごく昔の話を始めたりする、とバリーが何かのインタビューで言っていましたが、その強記ぶりには何度も驚かされました。ロビンは歴史が好きで年号マニアでしたが、その辺も記憶力の良さと関係があったのかもしれません。その割には歌詞をよく忘れて、1番と2番をごっちゃにしたり、新しい曲だと歌詞カードを手に持ったまま(でもとても感情をこめて)歌ったり、というのもご愛嬌でしたね。

比べて老い先短い我が身、最近は記憶力もとみに減退して、昔のことをどんどん忘れています。忘れないうちに、この辺で、少し古い思い出を書いておこうっと、と思ったのでした。

{Bee Gees Days}

 

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