ロビン・ギブが語るアンディの死、マイケル・ジャクソンのことなど(1989年5月2日デイリースター紙)

ビージーズ(1989年5月2日デイリースター紙)

 

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英国のタブロイド紙デイリースターは1989年5月2日号でビージーズを取り上げ、ロビン・ギブのインタビューを掲載しました。タイトルは当時のヒット曲「You Win Again」にかけて「またまた勝った――アンディの死を超えて進み続けるビージーズ」。One For Allツアーの直前に書かれたこの記事をいま改めて読み返すといろいろなことが思われます。アンディについて、マイケル・ジャクソンについて、スターであることについて語るロビンの言葉を中心に記事の内容をまとめてご紹介します。

 

ひさびさのスタジオアルバム「ESP」も好調で、シングル「You Win Again」もヒットしたビージーズだが末弟アンディの逝去ですべては悲しみに包まれてしまった。

「アンディが死んだあと、もっと何かしてやれたんじゃないかとみんなが思ったけれど、結局、心の底ではこれ以上どうしようもなかったと誰もが知っていたと思う」とロビンは語る。

アンディの死から1年、彼に捧げるアルバム『One』(ビージーズ通算26枚目のアルバムである)が発表され、シングルカットされた「Ordinary Lives」も好調だ。来週からはヨーロッパ・ツアーが始まる。

「新しい章を始める時が来たと思う。…アンディはぼくたちのように下積みを経験しなかった。ぼくたちと同じような経験をしていたら、スターになってもあれほど苦労せずにすんだかもしれない。ぼくたちにはお互いが必要だったけれど、アンディは自分は独りでいいと言っていたから」

ロビン自身は「アンディが亡くなる前から健康には気をつけていて、家族そろってマクロバイオティック食を食べている。アンディの死はドラッグによるものではなかったけれど、体を大切にしていなかったことが響いたと思う」。そんなわけでロビンの息子のRJは「体に悪いものを勧められても断れるように育てたし、肉は一度も食べたことがなくて、甘いものには決して手を触れようとしない」。

自然食志向は友人のマイケル・ジャクソンの影響だそうだ。

「マイケルも(アンディと同じで)有名になり金持ちになったことで不幸になった例」だとロビンは考えている。「ホワイトニング効果のある注射を打ち始めたあとでうちに泊まりに来たことがあるけれど、年をとることと死ぬことを恐れて行動も変だったし、外見も不自然になっていた。でも子どもとかかわるのがほんとにうまいんだ。ぼくがマイケルのスタジオで仕事をしている間、マイケルは子どもたちと遊んでいた。なんとか若さを取り戻したいという気持ちがあるようだけれど、美容整形に走るのは間違っていると思う。ぼくは薬もいやだし、整形なんてとんでもない。アメリカでは手術死も起きているし、失敗して外見が変わってしまった人もいる。リスクが大きすぎるよ」

今では自分のイメージに満足しているというロビンだが、イメージに苦しんだ時期もあった。「『サタデー・ナイト・フィーバー』は大ヒットしたけれど、大きなメダルを付けたダサいイメージもつきまとっていやになった。6年間ヒットが出せなかったのもひとつにはこのイメージのせいがあると思う。できれば当時のことは思い出したくない」

とはいえ映画に俳優として出演したいという気持ちはあるそうだ。

「バリーが制作会社を立ち上げて、いま映画の仕事をしてるんだけど、ぼく自身はあの映画に出たいかどうかちょっと自信がない。変わった話なんだよね。もう長くはないという三人組の男性の話。とはいってもグループで歌ってる三人組じゃないからいいんだけど、それでも縁起が悪いと思うよ。

引退したらいま住んでいるオックスフォードの街で歴史の研究に打ち込んで、ずっと夢に見ていたような本を書いてみたいなあ」   (by Kez Owen)

アンディについて語るロビンの言葉は時として自分自身を語っているようにも聞こえます。スターであることは彼にとってもそれほど楽な道ではなかったようです。ここで話題になっている”バリーの映画”はティモシー・ダルトン主演の「Hawks(この命尽きるまで)」です。(ちょっとトリビアですがダルトンは『冬のライオン』で映画デビューしています。アルバム『トラファルガー』に同じタイトルの曲がありますから、ビージーズがこの映画を知っていたことは間違いないでしょう) ロビンと最後に電話でした会話のひとつが彼が「ずっと夢に見ていた」本を書く話でした。バリーの弔辞にもあったように「もっともっと元気で素晴らしい仕事をしてほしかった」ですね。

(追記:上記の『冬のライオン』についてですが、な、な、なんと!当初『トラファルガー』を『オデッサ』と書き間違えていました。ダニエルさんにご指摘いただいて訂正いたしました。ダニエルさん、どうもありがとうございました)

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