ロバート・スティグウッド、ビージーズを語る(パート2)【ディスク&ミュージックエコー紙1969年3月15日号】

おおらかな浪費家のバリー(左)と部外者なんかじゃないコリン(右)
おおらかな浪費家のバリー(左)と部外者なんかじゃないコリン(右)

オーストラリアからイギリスに渡ったビージーズを発見、国際スターダムに押し上げた敏腕マネージャー、60年代後半のビージーズの快進撃の影の立役者でもあったロバート・スティグウッドが語るメンバーのプロフィール。

ロビン&モーリス篇に次ぐバリー&コリン篇は、音楽紙ディスク・アンド・ミュージック・エコーの1969年3月15日号に掲載されました。

1968年のベストドレッサーにも選ばれたバリーは着道楽で浪費家でもあったようです。あの若さで、しかも突然のスターダム、自作のヒットからどんどんお金も入るとあってはちょっと有頂天だった側面もあるのかもしれませんね。ヴィンスが去ったあとなのでヴィンス・メローニーのプロフィールだけないのはちょっと残念です。

 

 おおらかな浪費家、バリー・ギブ

バリー・ギブはすでにアイドルではありますが、おそらく彼は歌手、作曲家、さらには俳優としてジェームズ・ディーンやルドルフ・ヴァレンティノ・クラスの伝説的な存在にまでなるのではないかという気がします。

バリーはビージーズのコーディネーターです。ビージーズにはリーダーというものがいないので、このコーディネーターという呼び方がぴったり来るんです。マーブルスに提供した曲でもわかるようにソウルミュージックのセンスに秀でていますが、彼自身、優れたソロシンガーでもあります。

楽曲を聴く耳に加えて、スタジオでは完璧主義者です。完璧だと思うまで納得しません。また、バリーは夢見る人。音楽に生きています。詩人としては人生の機微や身の回りの出来事から詞を書くタイプです。ロビンと一緒に書いた大ヒット曲のうち何曲かはスタジオで即興的に書かれたという話は本当です。

映画界進出の夢についてはすでにオファーが殺到していますが、まだ具体的には何も決まっていません。まずビージーズを第一に考えているからです。でもバリーは基本的におおらかなゆったりとした性格で、ロビンほど怒り狂うことはありません。もっとも彼らは全員がかんしゃく持ちでバリーもかっとすることはあります。バリーが怒るのは、スタジオで複雑なハーモニーパートを思い出そうとしているのにまわりががやがやしているときです。そんなときには突然爆発するのでした。

おおらかな性格は金銭面にも表れています。すごい浪費家なんです。洋服の店に近づけるのがこわいぐらいです。スーツなんか一度に13着とか買っちゃいます。カーナビーストリートのある店でズボンを45着注文したこともありますね! シャツは千枚、靴やブーツは300足ぐらい持っています。でも毎日3~4回着替えるので、無駄にはなりません。

インタビューではその場の勢いで話すことがありますが、私は指図しないことにしています。マネージャーがアーティストの口を封じてはいけませんからね。

バリーはやさしくて思いやりがあるだけでなく、うぬぼれたり傲慢になったりしていません。聴衆に愛されるのはビージーズがソングライターとしてだけでなくパフォーマーとしても優れているからでしょう。

 

部外者なんかじゃないコリン

 コリンはグループ内では”部外者”的な存在ではないかと思う人が多いですが、実はスタジオではギブ兄弟とみごとなコンビネーションで兄弟のひとりと言っていいぐらいです。音楽的にビージーズにいかに溶け込んでいるかはコリンのドラムスを聴けばすぐにわかります。

いったんスタジオを出ると、話は別です。コリンはゆったりとした気質のオーストラリア人ですがギブ兄弟はマンチェスターの人間独特のかんしゃく持ちぞろい。でもコリンはギブ兄弟ととてもうまくいっているので、音楽的にもなくてはならない存在です。ギブ兄弟は血がつながっていますから、確かにコリンとの関係性とは違っているわけですが、コリンは大人なのでその中にうまく溶け込んでいます。ファンにも大人気でファンレターも多いです。

ヴィンスがグループを抜けたからといってコリンが孤立したということもありません。ヴィンスが自分の夢に向かって新しいスタートを切ったことを祝福しながら、グループ内で安定した自分の位置を持っている、それがコリンです。

コリンはレーシングカーに夢中なのですが、とってもしっかりしています。コリンの人柄を知っている私としては、パーソナルアシスタントとして買っているジョアンがコリンと結婚したのにも大賛成でした。とても洗練された人格で、食通、ワイン通でもあります。大のソウルミュージックファンでもあるので、ソウル系の曲が多いビージーズにとって欠かせない存在になっています。とにかく何をするにも完璧にプロであるコリン。ギブ兄弟と同じく子ども時代からエンターテインメントの世界にかかわってきたゆえんでしょう。曲作りの才能も豊かで今年は自分でプロデュースするアーティストに曲を提供する予定です。 

 当時、バリーがビージーズを抜けて、あるいはビージーズの活動と並行した単独活動として、映画に進出するという話がありました。結局、これは実現せず、ギブ兄弟の映画としてはテレビ用のコメディ「キューカンバー・キャッスル」とピーター・フランプトンと組んだ大失敗(?)作「サージェント・ペッパー」しか作られていません。今となってはもう実現は難しいですが、若い時に一本でも二本でも本格的な映画に出て欲しかった気もしますね。

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