【1989年】ビー・ジーズ最後となった日本ツアー
今からちょうど30年前の1989年12月、ビー・ジーズは結果的に最後のものとなった日本ツアーを行い、東京、大阪など計6か所でステージに立ちました。
1974年の公演から15年、11月末に前の公演地オーストラリアから東京入りしたビー・ジーズは、フィーバーの大ヒットを引っ提げて文字通り円熟期の素晴らしいセットを展開してくれました。
この年の公演日程は次の通りです。
11月28日 横浜アリーナ
11月29日 横浜アリーナ
12月2日 名古屋レインボーホール
12 月4日 大阪城ホール
12月6日 福岡サンパレス
12月7日 愛媛県民文化会館
3年連続して来日した70年代には、連日連夜の移動と公演が続くびっくりするほど超ハードな日程をこなしていた20代の彼らですが、この1989年には、最初の横浜2回と最後の2回の他はぞれぞれ中1日おいて移動等に余裕を見た日程になっています。やはり円熟期(<婉曲話法)だったためでしょう。
また、これはひとつに、非常な飛行機嫌いで知られるバリーが「国際線はしかたがないけれど、国内ではできるかぎり飛行機に乗りたくない」と希望したためでもありました。バリーは「特に子どもが生まれてから、とにかく“まだ死ねない、死にたくない”という気持ちが強くなって、飛行機になるべく乗らないようにしている」と発言しています。いかにも家族思いのバリーらしいですね。
12月7日に愛媛公演を終えた後も、なんとビー・ジーズのメンバーは瀬戸内海をフェリーで横断、広島入りしてそこから新幹線で東京へ移動するという形をとりました。
そして1989年12月8日、3人はこれを最後に日本から飛び立ってゆきました。「また2年後に来るよ」という言葉を残して…。
セットリストは次の通りです。
1. Ordinary Lives
2. Giving Up the Ghost
3. To Love Somebody
4. I’ve Gotta Get A Message To You
5. One
6. Tokyo Nights
7. Words
8. Juliet
9. Medley
– NYMD 1941, Holiday, Too Much Heaven, Heartbreaker,
Islands in the Stream, Run To Me, Melody Fair, World
10. Lonely Days
11. How Deep Is Your Love
12. It’s My Neighborhood
13. How Can You Mend A Broken Heart
14. House of Shame
15. I Started A Joke
16. Massachusetts
17. Stayin’ Alive
18. Nights On Broadway
19. Jive Talkin’
20. You Win Again
21. You Should Be Dancing
改めて振り返ると、この年の彼らは本当にすごかったなあと思います。日本公演が続いた70年代のコンサートは、若さに裏打ちされた声量・声の伸びなどがみごとで、本当に素晴らしかったのですが、熱心なファンでないと、ひょっとして、盛り上がりにかける(全体にきれいめ、おとなしめの曲が多い)と感じた人もいたかもしれません(前に出ろっ!…なーんてね)。
彼らもそれを感じていたのでしょう。アリフ・マーディンと仕事を開始したあとの74年のツアーでは、オープニングに「In My Own Time」を持ってきて、「Heavy Breathing」や「Down the Road」のようなハードな曲を投入し、ステージにメリハリをつけています。
逆に1975年のツアーから始まる「フィーバー時代」には、1976年のロサンゼルス公演を記録した『Here At Last』でロビンの主な出番が懐メロ・コーナーもどきの「メドレー」中心になってしまっていたように、ビー・ジーズのボーカルの双璧を成すあの個性的な声が生かし切れていたとはいえません。ファルセットに舵を切り過ぎたともいえるこの時代を逆に退屈に感じる昔からのファンもいるようです。
そのバランスがとれ、彼らの声も絶頂期の伸びを見せ(聴かせ?)、技量も冴えわたっていたこの1989年のツアーこそ、ある意味でビー・ジーズの真骨頂。せつせつたるバラードあり、ダンサブルなナンバーあり、バリーが「Words」を歌えば、ロビンが「Juliet」を、モーリスが「House of Shame」を歌い、メドレーでは「World」も披露してくれました。
ドイツから始まり各国をまわったこのOne For Allツアーの映像や音源が市販されているのは、とても幸運なことです。そしてこの時期のビー・ジーズを6回も観る(聴く)ことができた日本のファンはやっぱり幸せだったなあという思いを、30年後のいま、しみじみと噛みしめています。
{Bee Gees Days}
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