【1972年3月】「The Bee Gees東京公演/かなり酔えた1時間」(音楽専科誌・コンサートレビュー)
なかなかサイトを更新できないうちに4月も半ば…少しタイミングがずれましたが、1972年3月の初来日初日公演のレビューを当時の雑誌『音楽専科』から。
基本的にミーハー路線で売っていたアイドル誌みたいなノリの『ミュージック・ライフ』より、もうちょっとロック誌っぽかった(んじゃないかと思う)『音楽専科』に掲載されたこのレビュー、タイトルはちょっと斜めに構えて「東京公演/かなり酔えた1時間」。(かなり?というあたりが斜め?)でも白黒とはいえ、3ページのグラビアを組んでくれましたから、写真が芸術的(?)であまりピントがあってない点を割り引いても、掲載当時はやっぱり嬉しかったです。
ビー・ジーズ・オン・ステージ
ビー・ジーズの三兄弟は、素晴らしいショー・マン・シップを発揮した。全く徹しきったものだった。オーケストラを後に位置させ、リード・ギターを左側に、そしてスポット・ライトは三兄弟を一時間にわたって浮かびあがらせた。
去年までゴタついていたメンバーも、今では、ロビン・ギブが再加入し、ふたたび落ち着きをとりもどし、ヒット曲も“傷心の日々” “マイ・ワールド”とつづけて放ち、全くタイミング的にもこの来日はラッキーだったようだ。
ピンク・フロイド、C.C.Rなどコンサートが相ついでいるこの頃だけども、このビー・ジーズのコンサートは、そのサウンドのせいか一風変わった雰囲気をかもしだしていた。渋谷公会堂という場所のせいだろうか、バリー・ギブの金髪のヒゲと歌い方が全く素敵だった。バリー・ギブの歌い方といったら、声を出した瞬間に、もう声を出したというそぶりさえみせずに目線をギターの方に向けるのだ。マイクの方へ口をよせるという動作がなかったら、誰が歌っているかわからないほどなのだ。それと対照的なのが、ロビン・ギブ。日本人にはないオーヴァー・アクト。そしてモーリス・ギブは、三人の中で一番の役者だ。目立たないようで、ちゃんときめている。とにかく、あの独特の声とステージで観衆を酔わせた一時間だった。
短いのですが、このレビューを読むと、あの初めて彼らを生で見た感覚がまざまざと蘇ります。けっこううまく彼らの特長をとらえたレビューじゃなかろうか。彼らの根っこに「ショーマン・シップ」があった、というあたりを看破しています。わりと好きかも。署名記事ではないのですが、書いたのは編集スタッフでしょうか。
バリーがさりげないけどスター性を発揮していること。ちなみにそれがしは彼らのコンサートに何度かファンでない友人を連れて行ったことがあるのですが、出てくるときにはみんな「バリーのファン」になっていて、なぜか特に男性が「バリーがかわいかった」とか言うのです。面白い現象だと思いました。
それからびっくりしたのは記事にあった通りのロビンのオーヴァ―・アクトぶりで、ステージを見るまでは知りませんでした。まじかで見たそれがしの印象は、「ああ、外人さんや(どこの訛り?)」というものでした。
そしてみんなが言うけど、やっぱりモーリスが決まっていた。立ってるだけでかっこいい!
とても素敵な三人でした。
バリーの金髪のヒゲ、マイクに口を寄せる動作。ライトにきらきら光るロビンの汗と独特の重たい動き(ずれてる、ともいう?)。クールなんだけどお茶目なモーリス。
「あの独特の声」を特筆してくれたことが、このレビューをさらに貴重にしています。初期ビー・ジーズはか細いきれいな声で歌う、みたいなイメージがあるのですが、実は彼らはすごく声量があって、しかもかなりくせのある、めちゃめちゃ個性派のボーカリストぞろいでした。もう二度と出ないだろうなあ、あんなバンドは…と改めて思います。彼らの全盛期を共に地球上で生きられたのは本当に幸せなことでした。
{Bee Gees Days}
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